| (2)腰仙部脂肪腫 |
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Q5 【34歳・女性】 生後1ヵ月の女児の母親です。子供は生まれた直後より左図のような腰仙骨部に皮膚の盛り上がり(*)とくぼみ(←)がみられます。1ヵ月健診で専門医への受診をすすめられました。どんな原因が考えられるでしょうか。 |
| 図にみられるような腰仙部の局所皮膚異常は"tell-tail lesion"と言って、潜在性二分脊椎(せんざいせいにぶんせきつい)あるいは腰仙部脂肪腫(ようせんぶしぼうしゅ)の存在を暗示させる所見です。局所皮膚異常としては、図にみられるような皮膚の盛り上がり(皮下脂肪腫)、および皮膚のくぼみ(皮膚陥凹)以外に、多毛症、瘢痕、母斑、血管腫、索状物などがあります。しかし、このような皮膚異常がない例が約25%にみられます。一方、図のような皮膚陥凹をもった小児は多くみられ、すべての例で精査が必要かどうかは疑問であるという小児科医もいます。 潜在性二分脊椎(図19)は胎児期における背骨の椎弓(脊柱管の後方要素)の癒合不全による椎弓の欠損を意味します。したがって、この病態だけでは神経症状は呈しません。実際、潜在性二分脊椎は健常小児の中にも多くみられます。しかし、腰仙部脂肪腫(図20,21)が存在すると、話は別で、足の変形、足の潰瘍形成、下肢の運動障害、膀胱・直腸障害など多種多様な神経症状を呈してきます。図21、22に示すように脊髄と皮下脂肪が脂肪組織で連続していると、小児のように成長期に著しい成長を示す骨格(背骨を含む)に比較して脊髄の成長が追いつかず、脊髄および脊髄から枝分かれした神経線維(馬尾神経)の上方への伸展が抑制されて、脊髄および馬尾神経が引き伸ばされることになります。これを脊髄係留(せきずいけいりゅう)あるいは脊髄停留(せきずいていりゅう)tetheringと言います。 治療は一旦神経症状がでると回復が不良であることから、早期に手術を行って脊髄と皮下脂肪を連絡している脂肪組織を離断untetheringすることが必要です。 |
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図19 潜在性二分脊椎の3次元CT 腰仙骨を後方から立体的にみているCT画像で、第5腰椎および仙骨の椎弓(脊柱管の後方要素)が欠損している。正確には欠損ではなく、発達期における椎弓の癒合不全(⇔)です。 |
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| 図20 "tell-tail lesion"と言われる局所皮膚異常。 a: 皮下脂肪腫と血管腫、b: 皮下脂肪腫と母斑、c: 索状物(human tail) |
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| 図21 腰仙部脂肪腫の手術前(a,c)後(b,d) a: 腰仙骨を後方からみた3次元CT。第1仙骨(S1)以下の椎弓が欠損(二分脊椎)しています。b: MRI矢状断面像。脊髄(→)は皮下脂肪(*)と脂肪組織(→)を介して連続している。c: 手術後の3次元CT。二分脊椎の第1仙骨をハイドロキシアパタイトという人工骨で椎弓形成を行いました。d: 手術後MRI、脊髄と皮下脂肪を連結している脂肪組織を離断(→)し、脊髄係留を解除untetheringしました。 |