医師紹介

 

血管内治療って何?

血管内治療って何?

  体内の病気を、できるだけ身体にキズを残さず、やさしく治す新しい治療法の一つです。難しい話しをするとIVR(アイブイアール)と言う分野に入ります。このIVRは、レントゲン透視、CT、超音波(エコー)検査を見ながらカテーテルという細い管や針を用いて外科手術なしに、できるだけ身体にキズを残さずに病気を治療する画期的な治療法です。つまった血管や胆管を拡げたり、出血している血管をふさいで止血したり、ガンを死滅させたり、さまざまな治療を行います。手術を必要としないため、身体への負担が少なく病気の場所だけを正確に治療できます。

 

 この血管内治療をはじめとするIVRは、欧米でも日本でもいろいろな診療科の医師が行っていますが、放射線科医師が最も多く行っています。放射線科医師は画像をもとに診断し、治療を行う仕事をしています。放射線科医師が長年培ってきた能力や技術がこの新しい治療法に生かされています。また、この専門学会として「日本IVR学会」があり専門医の認定を行っています。

ガンに対する治療法の新たな選択肢

 さて、どんな病気に対して血管内治療をはじめとするIVRが有用なのでしょうか? まずガン治療です。

原発性肝臓ガン(B型肝炎やC型肝炎などの慢性肝炎や肝硬変から発症する)に対しては、直接病変に針を刺してガンを焼ききり死滅させるラジオ波焼灼療法(RF・アールエフ)やアルコールを直接注入する治療法(PEI・ペイ)、ガンの細胞が栄養を取り込んでいる動脈にカテーテルという細い管を入れ、ガンを殺すお薬を注入したり、血管をふさいでしまう物質を注入する動脈塞栓術(TAE・ティーエーイー)つまり肝臓ガンに対するガンの薬漬け・兵糧攻め治療法。そして高度進行肝臓ガンに対しては持続的にガンを殺すお薬を動脈から注入するリザーバー動注療法があげられます。もちろん外科的手術や粒子線治療等も選択肢の一つです。

 肝臓ガン治療に当たっては肝臓ガンの大きさ、個数、どこにあるか、そして肝機能の状態などにより、どの治療法を選択するかが決まります。治療法はどれか一つだけしか選択できないわけではなく、状態や経過に応じて何種類もの治療法を組み合わせて行うことも可能です。慢性肝炎や肝硬変から肝臓ガンが発生することが多いために再発することも多いです。つまり1回の治療で完全に治るわけではないと考えて定期的な経過観察が必要になります。

転移性肝臓ガン

 同じ肝臓ガンでも、胃や大腸などの他臓器からのガンが肝臓に転移してきた転移性肝臓ガンに対しては、ガンを死滅させるお薬の点滴や飲み薬が有効とされています。しかしながら、前述したリザーバー動注療法も有用です。つまり、あらゆるガンの肝臓転移に血管内治療は選択肢の一つとなります。

 

頭頸部ガン

 頭頸部ガン(耳鼻科領域の舌や咽のガン)では、手術前の治療法として、放射線療法と併用して、直接病変部位にガンを殺すお薬を注入する動注療法が行われます。この手術前にガンを殺すお薬を動脈から注入する治療は、手術ができなかった病変を手術可能にすることができるため、頭の先から足の先まで各種のガン(悪性腫瘍)に対して広く用いられています。

 その他、頭頸部ガンからの口腔内や鼻出血、肺ガンからの血痰や気管内出血、消化器ガンの吐血や下血、泌尿器ガンの血尿、子宮ガンの不正性器出血、肝臓ガンや腎臓ガンの自然破裂などのガンからの出血に対しても動脈塞栓術(TAE)で止血可能です。


ガン以外の血管内治療の適応は各種血管性病変です。

 

動脈狭窄症
動脈が細くなったり、つまってしまう病気に対しては血管を拡げる治療をし、その補強材料としてステントという器材を血管の中に置いたりします。
動脈瘤
動脈にコブができて、大きくなると破裂して出血死してしまう病気に対しては、コブを塞栓物質という病変をふさぐ物質をコブの中に入れてコブ自体をふさいでしまったり、カバードステントという器材を用いてコブの入り口をふさいでしまいます。
血管腫・血管奇形・動静脈奇形
血管の異常で体中どこにでもできます。治療適応にならないことも多いので、正確な診断が要求されます。治療法は動脈塞栓術(TAE)や直接病変に針を刺して病変を固めてしまう硬化療法が行われます。
外傷時の出血
交通外傷の大量出血時には手術が困難なことが多く、そのときにはカテーテルを用いて緊急動脈塞栓術(TAE)を行います。

 当院では本年4月より、火曜日から金曜日の午前中に、日本IVR学会認定専門医 今井茂樹医師による「血管内治療外来」の診療を開始しました。血管内治療についての相談をお受けするだけでなく、各種治療法に関するセカンドオピニオン外来も行っています。お気軽にご相談ください。