健康情報 こんにちわ

 

禁煙外来で治療 ―やめられない喫煙は「ニコチン依存症」という病気です!―

たばこが身体に悪いことは知っているし、周りの人にまで害が及ぶことも知っている。しかし、やめようとは思うのだけれどやめられない! 無理もありません。たばこを手放せないのは、治療を必要とする「ニコチン依存症」という病気だからです!

喫煙による健康被害

 喫煙は、WHO(世界保健機関)においても「病気の原因のなかで予防可能な最大の単一の原因」として位置づけられています。
 たばこの煙には、4000種類もの化学物質が含まれており、そのうち発がん性物質は200種類ともいわれます。
 さらに 「がんのリスクが高まる」こと以外にも喫煙は、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など、いわゆる生活習慣病の危険因子の一つと考えられています。たばこに含まれるおもな原因物質は、ニコチンと一酸化炭素です。ニコチンは中枢神経系の興奮を生じさせるため、心拍数の増加、血圧上昇、末梢血管の収縮など心臓・血管系への急性影響がみられます。一酸化炭素は赤血球のヘモグロビンと結びついて、本来酸素を運ぶはずの血液の酸素運搬を妨げます。
 その結果、喫煙により、年間の全死亡者数の約1割に当たる12~13万人が死亡していると推定されています。

禁煙外来とは?

  たばこへの「心理的依存(=習慣)」、吸わないとイライラする(=禁断症状) といった「ニコチン依存」は、克服するのがなかなか難しく、禁煙を決心してはみたものの、結局たばこをやめられないという人が大勢います。  そんな、たばこをやめたいけれど、どうしてもやめられないという人のためにつくちれた専門外来が、「禁煙外来」です。  さらに、2006年4月から禁煙治療が、いくつかの要件を満たすことを条件に、保険適応されることになりました。


禁煙外来の治療の流れ

  禁煙外来では、およそ以下のような流れで治療が実施されます。保険で認められている通院回数は、初診を含めて12週間で5回の診察を受けられます。
・初 診
 初診時の問診で、まず治療法(ニコチン置換療法(囲み参照))の説明があり、ニコチン依存度、喫煙の状況、禁煙の関心度などがチェックされます。また吐き出す息に含まれる一酸化炭素濃度の測定を行ないます。その後、禁煙開始日を決定、「禁煙誓約書」 にサインすると、いよいよ禁煙スタートです。最後に次回診察日の決定を行ない、治療のための禁煙補助薬の処方を受けます。
・2回目
 初回から2週目に再診、喫煙状況の問診、さらに医師によるアドバイスを受けます。呼気中の一酸化炭素の測定を行ない、禁煙補助薬の追加処方を受けます。
・3回目、4回目
 4週目、8週目の再診でも、呼気中の一酸化炭素の測定とともに、出現した離脱症状(禁断症状=イライラ、頭痛、気分が落ち着かないなど)の確認や対処法などのカウンセリング、治療を受けます。
・5回目
 12週目の再診が最終回で、治療終了となります。禁煙に成功していれば、そのまま禁煙を継続するためのコツを理解します。
 期間中、医療機関によっては専任の看護師が問診や禁煙に関するアドバイスを行なう場合もあります。
 もし途中でうまく禁煙できなくても、必ず最後まで受診するようにしましょう。

禁煙の準備と成功させるコツ

・禁煙を始める日を決める
 1~2週間程度の準備期間を設け、その上で禁煙を始める日を決めます。誕生日など、自分にとって特別な日がおすすめです。
・禁煙への意欲を高める
 「最近、体調が良くない」「小さい子どもがいるので」など、禁煙したいと思う理由について考え、書き出しましょう。
・自分の喫煙パターンを知る
 起床時、昼食後、お酒を飲みながら、など、「ここがアブナイ!」というポイントを知っておき、水やお茶を飲む、ガムを噛むといった対処法を考えておきます。
   ◆      ◆      ◆
 「たばこをやめるぞ!」と決心しても、なかなか思い通りに達成できないのが 「禁煙」 です。
 たばこをやめたいのにどうしても禁煙できないとき、まずはかかりつけ医に相談してください。
 過去に禁煙外来を受診したのだが、禁煙に失敗してしまったという場合はどうでしょうか?
 禁煙外来を受診して、「健康保険適用による薬が最初に処方された日から一年以上」が経過している場合、再度、健康保険適用での禁煙治療が受けられます。実際に2回目、3回目の禁煙外来の受診で禁煙に成功したという例は少なくありません。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2014年01月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載