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胃がん――内視鏡(腹腔鏡)下手術

「胃がん」は、日本人にとても多くみられる病気です。このため病気の進行具合によって様々な治療法があります。

 今回は、最近広く行われるようになった「内視鏡(腹腔鏡)下手術」を中心に記事をお届けします。この手術法は、小さな穴から特殊な器具を入れて胃がんの切除を行なうため、開腹手術にくらべ痛みや身体への負担が少ないという特徴があります。

内視鏡手術とは?

  胃がんが疑われると、まず胃の「内視鏡検査」を行ないます。胃の内視鏡検査は一般に胃カメラと呼ばれるもので、内視鏡(ビデオスコープ)で胃の内部を直接見て病変の広がりや深さを調べます。さらに必要に応じて胃X線検査を行ないます。胃X線検査は、バリウムを飲んで、X線で胃の凹凸や粘膜の状態を調べます。
 「内視鏡下手術」は手術の一種ですが、お腹を大きく切る(開腹する)のではなく、小さな穴を数か所開け、そこに腹腔鏡(内視鏡の一種)や器具を挿入して手術を行なうものです。メリットとしては、傷が小さくてすむ、術後の痛みが少ない、回復が早いなどがあります。
 近年、早期胃がんに対しては、内視鏡(腹腔鏡)下手術が行なわれるようになりました。内禎鏡による治療には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2種類があります。
 EMRでは治療手技は比較的容易ですが、2Cmより小さな病変でも1回の切除で取りきれない場合があり、5%ほどの再発が認められます。ESDは2Cmより大きな病変でも、1回の切除で完全な切除ができますから、再発はほとんどありません。
 2006年4月から、早期胃がんに対するESDは健康保険適応となったこともあり、ますます広く行なわれるようになっています。

リンパ節転移の可能性がある胃がんについて

 胃がんのなかでも、リンパ節転移の可能性がある場合には胃切除が必要となります。胃切除術は大きく腹部を切開する開腹法によって行なわれてきましたが、近年は腹腔鏡が用いられるようになっています。
 腹腔鏡を用いることで腹部の切開創(傷)をでき るだけ小さくして、患者の肉体的負担を軽くしようというねらいです。
 現在では、胃の出口側3分の2を切除する「幽門側胃切除」、胃のすべてを切除する「胃全摘術」胃の入り口側を切除する「噴門側胃切除術」も腹腔鏡下手術で行なわれているように、ほぼすべての胃がん患者の手術が「腹腔鏡下手術」となっています。










手術療法以外の療法

 胃がんへの手術以外の療法としては、まず、化学療法があります。化学療法は「抗がん剤」を用いてがん細胞をおさえる治療です。内服薬または点滴で行なわれ、薬剤が血液の流れに東って全身を回り、がん細胞に影響します。胃がんの化学療法は近年、新しい抗がん剤の登場もあり、進歩を遂げています。
 また、放射線によりがん細胞を殺す「放射線療法」もありますが、胃がんへの効果は手術ほど確実でないこともあり、普通は行なわれません。
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 このように、胃がんは手術による治癒率が非常に高く、最近では特に早期胃がんの予後は、完全にがんを切除できた場合、治癒率は90%を超えています。
 どんながんでも進行するほど予後が悪くなります。そのためにも、できるだけ早くがんを発見し治療することが重要です。
 胃がんの早期発見のためにも胃部不快感や痛みなどの症状があるときは、まず医療機関を受診して検査を受けてください。また、日ごろからがん検診を積極的に受けることも大切です。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2014年02月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載