健康情報 こんにちわ

 

人工透析について

 日本では現在、約30万人の患者が人工透析による治療を受けています。
 そして、腎不全の要因となる糖尿病の増如から、人工透析を受ける患者も年々増如しています。

腎臓の機能を代替する人工透析

 人工透析は、血液中の老廃物を人工的に取り除くために行なわれます(血液の浄化)。
 人間の身体では、血液の浄化は腎臓で行なわれ、老廃物は尿として体外に排出されます。しかし、腎臓の機能が10%以下に低下すると腎臓は血液の浄化を十分に行なうことができなくなり、尿毒症という死に至る病気を引き起こします。こうした事態を防ぐために、人工透析が必要となるのです。
 腎臓の機能低下(腎不全) には、急激な機能低下が起こる急性腎不全と、長い時間の間に徐々に機能が低下する慢性腎不全の2つがあります。
 急性腎不全は、適切な治療を受けることで、比較的早期に腎機能の回復が期待できます。しかし、慢性腎不全は腎臓へのダメージが長期間にわたって積み重なって起こるため、機能の早期回復は非常に困難です。このため慢性腎不全においては、長期にわたる透析治療が必要となります。

血液透析と腹膜透析

 血液を浄化するためには、血液をろ過する膜が必要となります。人工透析は、機器を使って患者の体外で医療用の膜を通過させる「血液透析」と、患者自身の腹膜(腹部の内臓を覆う膜)を活用する「腹膜透析」 の2つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがありますが、日本では人工透析の95%以上が血液透析によって行なわれています。
 血液透析は、腕に内シャントとよばれる血液の取り出し口を設け、血液をダイアライザーという装置に通過させて浄化し、体内に戻す治療法です。1回あたり4~5時間の治療時間が必要で、週2~3回の通院が必要となります。
 腹膜透析は、特別な液体を腹腔(腹部の内臓の入っている空間)に入れ、一定時間の後、取り出します。一日に4~6回、こうした治療を患者自身が毎日自宅で繰り返します。通院の頻度が少ないというメリットはありますが、腹膜に負担がかかり5~6年で血液透析に移行するのが一般的です。

人工透析を受けていても

 透析治療を受けている人でも治療以外では、ある程度の食事・運動制限のほかは、ほとんど健康な人と同じように日常生活を送ることが可能です。仕事の関係で日中の時間調整が難しい場合は、夜間に人工透析を行なっている施設を利用することもできます。
 医療費の面では保険制度が整備され、高額療養費制度や地方自治体の助成制度を利用することで、少ない自己負担で治療を受けることができます。
 人工透析が確立する前は、腎不全は死の病とよばれていました。医師の診断で人工透析が必要となった場合は、一日も早い治療の開始が望まれます。















-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2014年02月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載