健康情報 こんにちわ

 

在宅医療について

 在宅医療という場合、入院蔑療と対になるものとして理解すると分かりやすいでしょう。
 入院用のベッドは家のベッドとなり、ナースコールは自宅の電話になります。では医師・看護師はというと、在宅医・看護師をはじめ、地域にある複数の医療・介饅機関の専門職チームが患者のサポートにあたります。

自宅で医療が受けられる

 在宅医療とは、通院が不可能な患者の自宅への医師・看護師による定期的な訪問医療や病状の急変時の往診、また必要に応じた薬剤師・介護療養師による医療サポートのことをいいます。在宅医療は、お住まいの地域の医療体制にもよりますが、原則的にはすべての病気を対象に行なわれます。また、患者の年齢制限もありません。健康保険に関しては、通院・入院と同じように各種保険が適用されます。
 基本的に、医療機関における入院のための設備は、病気の急性期にある患者に集中的な検査・医療を行なうためにあります。このため、病状が落ち着いた時期にある患者は、長期入院のための設備がある病医院を利用することが一般的です。
 この段階においては、患者本人やど家族の希望によっては、自宅で病気の回復を目指すことが可能なケースがあります。とはいえ、手術や特定の検査を除き、在宅でも入院しているときと同レベルの医療が受けられることが望ましいでしょう。こうしたときに、24時間365日安心して自宅で医療が受けられるようにするために、地域の医療機関が連携しながら、在宅医療は進められていきます。

在宅医療でできること

 在宅医療の最大のメリットは、住み慣れた自宅で家族とともに過ごしながら病気の療養ができることでしょう。内閣府が平成19年に行なった『高齢者の健康に関する意識調査』によると、60%以上の人が「自宅で療養したい」と回答しました。また、要介護状態になっても、自宅や子供・親族により自宅で介護を希望する人は40%を超えています。
 在宅医療で治療・療養が可能な医療分野も増えています。がんや脳疾患(脳梗塞、認知症)、パーキンソン病などの神経疾患、骨折をはじめとする整形疾患、そして心疾患や呼吸器疾患。また、高齢者の場合、訪問介護サービスと組み合わせて療養を行なうことや、歯科医師の訪問を受けての口腔の治療も行なわれています。

超高齢化社会における在宅医療

 在宅医療を可能にするためには、患者のご家族と医療機関の信頼・協力関係が不可欠です。同時に、ご家族の負担を減らすために、患者の容態によっては在宅医療と入院医療、介護が必要な場合は介護施設の利用を柔軟に組み合わせていくことも大切です。在宅医療を行なう医師・看護師・薬剤師はこうした点をふまえ、患者やご家族と繰り返し話し合いを重ねていきます。
 在宅医療で忘れてはならないことは、看取りの問題です。超高齢化社会を迎えつつある日本では、この間題の重要性がさらに増しています。
 今から40年ほど前までは、80%の人が自宅で人生を終えました。現在では逆に、80%の人が医療機関で息を引き取ります。そうした人のなかには、少しでも自宅で家族とともに過ごしたいと希望していた方もおられたことでしょう。
 すべての人が、自分の望む人生を送るようにするにはどうしたらよいか。これからも在宅医療へのさまざまな取り組みは続いていきます。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2014年03月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載