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パーキンソン病 早期発見で進行を遅らせる!

「パーキンソン病」とは、脳内の神経伝達物質の一つであるドパミンの量が減ってしまうことで起こる、神経の病気といわれています。おもな症状としては、手足のふるえや身体のバランスが悪くなることがあり、1割ほどが遺伝により発症します。今後、患者数の増加が予想される病気です。

パーキンソン病ってどんな病気?

 パーキンソン病は、ふつう40~50歳以上に多く見られる神経の病気です。原因についてはよくわかっていません。
 脳の神経細胞は、加齢によって自然に減ってしまいますが、中脳の黒質という部分の神経細胞が減ってしまい、脳内の神経伝達物質の一つであるドパミンの量が減ってしまうことで起こるといわれます。さらに環境や遺伝子など、いくつかの原因が重なった結果だと考えられています。
 パーキンソン病のおもな初期症状としては、左ページの表の四つが知られています。
 特徴とその症状をみてもわかるように、パーキンソン病は進行し悪化するにつれて、自分一人で日常生活を送ることが難しくなっていきます。いわゆる「寝たきり」になってしまうことになります。
 また、ほかにもトイレが近くなる、よく眠れないといった症状を訴えることもあります。
 今後ますます高齢社会が進むことで、パーキンソン病の患者数も増えると予想されます。
 パーキンソン病の進行の速さは、人によってまちまちです。ただ、少しでも早く適切な治療を始めれば、進行を遅らせることができます。



パーキンソン病の特徴と初期症状

 パーキンソン病の進行は非常にゆっくりしているため、本人もなかなか気づかないケースが多くあります。また、パーキンソン病に似た症状を持つ疾患はいくつかみられます。
 手足のふるえなど、パーキンソニズムと呼ばれるパーキンソン症状を起こすほかの疾患は、パーキンソン症候群といいます。
 パーキンソン症候群のなかには薬物性のもの、脳梗塞によるもの、原因不明のもの、さらに本態性振戦(ふるえのみ起こる症状)があります。そうした他の疾患とどのように区別してパーキンソン病という診断が下されるのでしょう。
 CTやMRIといった画像検査でもパーキンソン病は特定できませんから、前述のパーキンソン症候群を除外しながら臨床症状で判断することになります。
 パーキンソン病の治療には、次の三つがありますが、現在のところ、完治させる決定的な治療法は見つかっていません。それでも、今も次々と新しい治療法が開発されつつあります。
①薬物療法……現在、パーキンソン病の治療の中心。減少しているドパミンの量を補う、あるいはドパミンの代わりとなる薬剤を投与します。
②遺伝子療法……薬剤療法の効果が現われにくくなったとき、体内でドパミンを生成するのに必要な酵素(AADC) の遺伝子を細胞に組み込み、脳に導入します。
③手術療法……視床下核に電極を植え込んで行なわれる電気刺激療法が、普及されつつあります。

 パーキンソン病の治療については、近年、その研究が大きく進歩しており、遺伝子治療や神経幹細胞による治療の実現が期待されています。こうした治療とともに、日常生活で心がけたいことを以下に記しました。
◆精神面での不安が強すぎると、本来の症状以上に身体の不自由さ、社会生活の低下を招いてしまう場合があります。
◆ふるえたり字が書きづらいといったことに、できるだけこだわらないようにします。
◆病気や薬に対する理解を深め、必要以上に恐怖感を持たないようにします。
 基本的に普通の生活を送ることを心がけましょう。
 食事の面では、栄養バランスを考えた食事を摂り、水分をこまめに摂ることも忘れずに。
 未来に希望を持って、治療に努めましょう。
 そして何より重要なことは、早期発見です。
 パーキンソン病が進行してしまうと、日尚巾生活に不自由なことが多くなります。特定疾患治療研究事業に認定されている病気ですから、医師による重症度の判断で、医療費の一部、または全額が公費により助成される制度があります。
 また、身体障害者手帳の交付や介護保険の利用も可能になる場合もあります。さまざまな福祉サービス、訪問看護や訪問リハビリなども上手に活用しましょう。それぞれの条件については、医師、役所の福祉課、保健所などに相談してください。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2014年06月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載