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夜、眠れない、食欲がない、いつも気分はふきざ己んだまま。
もし、そんな状態が続いているのなら、「うつ病」かもしれません。
「うつ」は病気です。早めの治療が必要です。
「最近よく眠れない」「食欲がないし、食べてもおいしくない」「一日中気分が落ち込んでいて、何をしても楽しくない」といったことが続いていませんか?こんな状態が続く場合、うつ病である可能性があります。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なるなど、さまざまな理由から「脳の機能障害が起きている状態」の病気です。
機能障害により脳がしっかり働いてくれないために、ものの見方・考え方が否定的になり、自分がダメな人間だと強く感じてしまうことがあります。そのため普段なら乗り越えられるストレスも、より大きくつらく感じられてしまいクリアできなくなる、といったことが起きます。
ここで大切なことは周囲の人がつい言ってしまいがちな、「気持ちの問題」とか「精神的に甘えがある」といった「心の弱さ」から陥る身体の不調がうつ病ではないことです。
多少の心の不具合は、私たちが本来持っている自然治癒力などにより回復していきます。しかし、時間の経過とともに改善し治っていくはずのうつ症状が改善せず、むしろ悪化してしまうと生活への支障が大きくなり、仕事・勉強・家事など日常生活全般において支障が出るようになります。この状態になると、「病気」としてとらえる必要があります。
また、うつ病の症状としては、「心」の症状のほか、「体調」に症状が出ることもあります。「なかなか寝つけない」「熟睡できない」といった不眠症状や「食欲不振、吐き気、頭痛」など、さまざまな症状がうつ病のサインであることがあります。
うつ病には多くの種類があります。正しいうつ病の診断は、どのタイプのうつ病なのか、ほかの精神疾患である可能性はないか、といったことまで確認する必要が求められます。
また、分類の仕方もさまざまで、症状の現れ方や重症度による分類の仕方などがあります。
そんなうつ病の原因には、これもさまざまありますが、最も多く見られるケースが「環境要因」といって、身近な人の死など、とてもつらい出来事が原因となる場合です。また、そうしたことが複数あって発症の引き金になるケースもしばしば見られます。
さらに 「性格の傾向」も発症の原因の大きなもので、凡帳面で完壁主義、仕事熱心で義務感の強い人が、しばしばうつ病になりやすいタイプといわれます。加えて「遺伝的」なことなども、うつ病の原因となり得るようです。
現在のうつ病治療には、大きな3本の柱があります。「休養」「薬物療法」「カウンセリング(精神療法)」がそうです。
多くの種類があるうつ病の治療は、一人ひとり違います。
まず、うつ病に限らず、体調が悪いとき、病気のときに必要なのは、まず「休養」です。仕事の内容・時間などを軽減する、あるいは仕事を休んで療養する、さらには入院するなどが考えられます。
「環境要因」が原因と思われる典型的なうつ病の場合、「薬物療法」の効果が期待できます。「性格の傾向」に「環境要因」が重なった場合は、精神療法的アプローチや環境を考え直し整備し直すことが必要になります。
「精神療法・カウンセリング」には「認知行動療法」「森田療法」「内観療法」 などの方法がありますが、共通している点は患者自身が持つ 「生きる力」「生きよう」とする意欲を見出そうとする点です。その治療は医師やカウンセラーが一方的に行なうものであってはならず、患者の自主性・意志が最も重要であるといえます。
うつ病は早期に発見して適切に治療すれば、必ず治る病気です。一人で抱え込んでいても悪くなるばかり。そのため、患者本人や周囲の人が早く気づいて、少しでも早く、適切な治療を受けることがポイントになります。そしてまた、うつ病の治療には、多くの場合時間がかかります。根気よく治療を続けることが重要です。
-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年04月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載