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特発性正常圧水頭症

「特発性正常圧水頭症」という病気はあまり聞き慣れないものですが、患者には認知障害、歩行障害、尿失禁といった症状がみられ、「認知症」とよく似ています。
 特発性正常圧水頭症の症状は、脳脊髄液が頭蓋骨内に溜まってしまうことで起こります。脳脊髄液が頭蓋骨内に溜まると、脳室(脳内の空間) の拡大が起こります。脳室の拡大は、脳が萎縮する認知症でもみられます。このため頭部へのCTやMRI検査だけでは、特発性正常圧水頭症と認知症の判別が難しいケースがあります。
 特発性正常圧水頭症には、もう一つとても重要な特徴があります。それは、治療の効果が非常に高いという点です。ある調査によると、治療を受けた患者の9割の方に症状の改善がみられました。
 これらの点を踏まえ、特発性正常圧水頭症を「治る認知症」と報道した新聞社もあります。
 特発性正常圧水頭症は、毎年約13000人が発症しているとされています。しかし、この病気はその病名同様、現状ではあまり多くの人に知られているとはいえません。
 認知障害、歩行障害、尿失禁といった症状があっても、加齢のせいだと諦めて医療機関の受診をためらっている方もいらっしゃるでしょう。そうした方には、ぜひ、こうした「治る」病気があることも知っていただき、積極的に検査を受けるようにお願いします。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年05月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載