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がんについて知ろう-転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍は、他の臓器に発生したがんが血液によって脳に運ばれ、頭蓋骨内に腫瘍を生成する病気です。 転移性脳腫癌は悪性の腫瘍で予後が悪く、根治の困難な病気で、治療受ける方の身体の状態によってさまざまな治療法が検討されます。ご家族の方も含めて、主治医や専門医と綿密な連携のもとに病気と向き合っていく必要があります。

脳腫瘍とは

 脳腫瘍は、頭蓋骨のなかに病気によって変成した固まりができることをいいます。この固まりが脳の神経を圧迫するため、頭痛、吐き気、嘔吐といった症状や視覚や聴覚、言語、運動機能に障害や麻痺が起こります。
 脳腫瘍は、脳細胞を含め、頭蓋内のさまざまな組織に発生する可能性があります。脳の細胞や組織そのものが原因となって腫瘍となった場合は原発性脳腫瘍、身体の他の臓器や器官で発生したがんが脳に転移して腫瘍となった場合は「転移性脳腫瘍」とよばれています。

転移性脳腫瘍

 脳腰瘍なかで転移性脳腫瘍の割合は、約15%程度といわれています。
 がんの転移は血液を通して起こります。転移性脳腫瘍でもっとも多いのは、肺がんが転移するケースです。次いで、乳がんからの転移が多くみられます。
 転移性脳腫瘍の治療には、転移の原因になったがんの治療が重要となるため、脳神経外科のみならず、さまざまな診療科が連携して治療にあたります。
 残念なことに、転移性脳腫癌の予後はけっして良いとはいえません。基本的には、転移性脳腫癌の治療は、根治ではなく治療を受ける方の生活の質をできるだけ維持していくことに主眼が置かれます。
 ただし、治療にはさまざまな条件が関係してます。とくに、転移の原因となったがんの治療の状態によって大きく左右されます。さらにいえば、転移性脳腫瘍は治療による症状のコントロールができるケースが多くあります。病気の状態によっては、必ずしも治療をあきらめる必要はありません。


転移性脳腫瘍の治療

転移性脳腫瘍の治療には、切開しての手術療法や、薬物による化学療法の他に、今日、放射線治療が多く行なわれるようになりました。また、腫瘍が大きく、手術によって腫痛が摘出が必要な場合も、術後に放射線治療が行なわれます。
 どのような治療が選択されるかは、腫瘍の大きさや数によって変わってきます。また、転移の原因となったがんとの関係もあるので一概にはどの治療法が最適かはいえませんが、目安としては、腫瘍の大きさが3Cm以上か、腫瘍の数が4個以上かどうかが重要になります。
 転移性脳腫瘍の放射線治療には、脳全体に放射線を照射する「全脳照射」と、脳の特定の部位に放射線を照射する「定位放射線治療」があります。定位放射線治療の代表的なものは「ガンマナイフ」と呼ばれる最先端医療機器を使った治療法です。

ガンマナイフ治療

 ガンマナイフ治療とは、ガンマナイフ本体の線源から発生するガンマ線を、患者の頭部に装着したヘルメットを通して短時間で集中的に照射し、病巣を凝固・壊死させる治療法です。関頭切除手術が難しい脳深部にある直径3Cm以下の病巣に対しては効果が期待できます。  治療は基本的に一回で、2泊3日程度の入院と病巣の変化を観察するための定期的な診察と検査が必要です。  ナイフという言葉から切開をイメージしますが、関頭手術と違い、皮膚の切開は行なわれません。  ガンマナイフ治療は、世界的には30年ほど前から行なわれており、日本でもここ十数年で1万人以上の方がこの治療を受けました。平成8年からは健康保険も適用されています。転移性脳腫瘍の他にも、脳浮腫や脳動脈瘤といった多くの脳疾患に効果的な治療法です。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年05月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載