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悪性黒色腫(メラノーマ)―セルフチェックと早期受診

 悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚がんのなかでも非常に悪性度が高く、放っておくと命にかかわるがんです。
 その一方で、目に見える部位にできることが多いので、正しい知識をもって早期に医療機関を受診すれば、深刻な事態を回避することが可能ながんであるともいえます。

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

 悪性黒色腫とは、メラノーマとも呼ばれる、皮膚がんの一種で、皮膚の色素を作る「メラノサイト」という細胞のがん化によって発症します。
 ちなみに、悪性黒色腫には、見た目がほくろとよく似たものもあります。このため、ほくろが悪性黒色腫になるのではないかと心配される方もいますが、ほくろががん化することはほとんどありません。
 悪性黒色腫は、手のひらや足の裏をはじめ、身体のさまざまな部分で発症する可能性があります。また、身体を覆う硬い皮膚だけでなく、眼球や鼻、口といった粘膜に発症することもあります。
 悪性黒色腫の発症原因は、紫外線や皮膚への傷害が疑われていますが、正確には明らかになっていません。悪性黒色腫は、誰にでも起こりうるがんであり、また決定的な予防法がないのが現状です。
 とはいえ、悪性黒色腫の発症は、10万人に一人程度とされ、非常にまれなものです。前述したほくろに対する誤解も含めて、過剰に心配する必要はありません。
 悪性黒色腫においてもっとも大事なことは、病気が疑わしいときに早急に医療機関を受診することです。この点は、しっかりと記憶に留めておくようにしてください。

悪性黒色腫の治療

 悪性黒色腫の治療は、外科療法による切除が第一選択肢としてあげられます。これは、悪性黒色腫には、抗がん剤や放射線治療が効きにくいためです。
 悪性黒色腫に対する抗がん剤治療は、外科手術後の検査でも発見の難しいがん細胞や、転移のリスクを軽減するために行われます。
 また、放射線治療の場合は、限られた医療機関でのみ提供されている、速中性子線や重粒子線といった特別な放射線を使用する必要があります。
 悪性黒色腫には、発症した部位の周囲にさらに数か所発生することが多いという特徴があります。このため、外科手術のさいには、悪性黒色腫の周囲を含んだ切除が必要になります。
 腫癌が小さいうちに悪性黒色腫を発見できれば、それだけ、切除する部分は少なくてすみます。これは、身体の見た目や機能性に大きく影響する問題です。悪性黒色腫が疑わしいときは、一刻も早く病気かどうかを確かめなければなりません。

悪性黒色腫とほくろの違い ―早期発見のために

 悪性黒色腫の検査には、近年、「ダーモスコピー」という検査方法が多く用いられています。これは特殊な拡大鏡による検査方法です。また、腰痛の細胞を顕微鏡で詳細に調べることにより、悪性のがんかどうかを判断する検査方法もあります。
 医療機関で調べれば悪性黒色腫の発見は比較的容易です。しかし、悪性黒色腫はほくろとよく似ているので、一般の人にはその発見が難しいこともあるようです。
 悪性黒色腫に特徴的で、ほくろと異なるいくつかの目安があります。この点に十分注意してど自身の身体を観察してみましょう。
 日本人の悪性黒色腫は、足先の裏にできる人が多いという報告があります。
 こうした見逃しやすい部位も含め、定期的にご自身の身体をチェックし、少しでも疑わしい場合は医療機関を受診するようにしましょう。

◆‥チェックポイント‥◆
(1)直径が6mm以上ある。
(2)いびつな形をしている。
(3)周囲が滲んだようになっている。
(4)色がまだら状になっている。
(5)半年から一年といった、短い期間で急速に大きくなった。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年06月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載