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パニック障害- 適切な治療でパニック発作を克服する

ある日突然、何の前触れもなく、激しい動悸や呼吸困難に襲われる。そして、めまいや吐き気、冷や汗、手足の震えが止まらないパニック障害によって起こるこうした症状は、死を意識させるほどの恐怖を患者に与えます。しかし、パニック障害が患者にもたらす厄介なことは、こうした発作だけに留まりません。意外なほど多くの患者が存在するパニック障害。これはいったいどういう病気なのでしょうか?その治療法は?

パニック障害を患っている人は多い

 パニック障害という病名は、最近、とくによく聞かれるようになりました。その一つの理由としては、元々「不安神経症」と呼ばれていた病気が、「パニック障害」と 「全般性不安障害」 の二つに分けられたことが関係しています。
  そして、さらに大きな理由としては、パニック障害を患う人が実はたいへん多く、現在も増加しているという点があげられます。ある調査によると、100人に1人がパニック障害を患っているとする報告もあります。

 

 

 

パニック障害の原因と問題点

 パニック障害は精神的な病気と思われがちですが、現在では脳内における神経伝達物質の分泌異常が原因とする説が有力です。
  パニック障害による発作を起こすと死を意識するほどの恐怖に襲われますが、こうした発作は10分ぐらいで治まります。その後、身体的な検査をしてもどこにも異常は見当たらないケースがほとんどです。パニック障害が死に直結するという心配はありません。
  ただし、ここで問題になるのは、パニック障害による発作は思わぬときに思わぬところで再発するという点です。このことから、パニック障害を一度経験すると、「また同じことが起こるのではないか」という心配(予期不安) から、日常生活に重大な支障が出るケースがあります。また、これによって症状の重いうつ病を発症するケースもみられます。

パニック障害の治療

 パニック障害の治療は精神科や心療内科で行なわれます。
  パニック障害は、「脳内における神経伝達物質の分泌異常」が原因となっていますが、こうした状態は、「強いストレス」によって引き起こされることがあります。
  パニック障害の治療はこうした点を考慮して、「薬物療法」と「認知行動療法」によって行なうことが基本となっています。

 

【薬物療法】
  薬物療法では、SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害剤)とベンゾジアゼピン系抗不安薬が使用されます。
  SSRIは、精神的に辛い気持ちを改善するための薬で、基本的には1年以上服用します。一方のベンゾジアゼピン系抗不安薬は不安感を軽減させる薬で、こちらは不安症状に合わせて用量を調整しながら服用します。

 

【認知行動療法】
  パニック障害の認知行動療法は、 「広場恐怖(外出恐怖)」と「パニック発作」 の克服に焦点を当てた治療が行なわれます。 広場恐怖というのは、「広場」に対して恐怖心があるというのではなく、「発作が起きたときに逃げられない場所を怖がる」 ことをいいます。とくに、発作を経験した場所やそれに似た場所は広場恐怖の対象になります。
  広場恐怖を克服するには、苦手な場所や状況をあえて体験することで慣らしていく、エクスポージャー(曝露療法)が有効です。一方、パニック発作の克服では、発作が起きたときや起きそうなときに落ち着いて状況をやり過ごすための方法を体得します。考え方の癖を改善したり、呼吸法を覚えることがいざというときに役立ちます。


-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年09月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載