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膵臓がん

 膵臓がんは、日本人のがんによる死因では五番目に多く、治療の難しいがんです。糖尿病との関わりが強く、糖尿病予備軍の方が2000万人以上とも言われる日本においては、より関心をもっていただきたいがんの一つです。

 

膵臓について知ろう


  胃で消化された食べ物は十二指腸へと送られます。そして十二指腸は、胃の消化物に膵液や胆汁を混ぜて腸に送ります。こうした働きによって、腸での分解吸収は助けられています。
  膵臓は、胃で消化された食べ物が十二指腸に送られてきたときに、この膵液を分泌する働きをしています。
  膵臓には、そのほかにもう一つ大きな役割があります。それは、インスリンやグルカゴンといった、血液のなかの糖(血糖値)を調節するホルモンを分泌する役割です。血糖値が高くなると、糖尿病の引き金となり、やがて、四肢の切断や失明といった危険を招きかねません。
  膵臓は、胃や腸に比べて皆さんの関心がやや薄い傾向がありますが、非常に重要な役割を担っている臓器です。

膵臓がんの特徴

  膵臓の病気には、膵臓がんのほかに「膵炎」という、膵臓が炎症を起こした状態になる病気があります。膵炎が発症すると、上腹部や背腰部に激しい痛みが生じます。このため、比較的、病気が発見がされやすい面があります。
  本題の 「膵臓がん」 ですが、膵炎が膵臓そのものに起こるのに対して、膵臓がんの場合は、そのほとんどが「膵管」という膵液を送り出す管に生じます。このため、がん発生の初期には自覚症状に乏しいことが特徴となっています。
  膵臓がんが進行すると、腹部の痛みや、食欲不振、体重の減少といった症状が現れます。しかし、これらは膵臓がん独特の症状とは言い難く、がんの発見が遅れる原因ともなっています。
  膵臓がんには、自覚症状が乏しいということのほかに、さらに重要な特徴があります。それは、膵臓がんは、かなり初期のうちから他の臓器への転移が起こりやすいという点です。とくに、膵臓の近くにある肝臓への移転が多くみられます。


膵臓がんの早期発見は可能?

  膵臓がんになる危険因子としては、喫煙習慣やアルコールの過剰摂取、糖分・脂肪分の摂り過ぎ、ストレス、遺伝といったさまざまな要因があげられています。とはいえ、決定的な予防法は見つかっていません。
  早期発見に関しては、「コンピュータ断層撮影検査(CT検査)」 の技術が進み、かなり小さいがんの塊も発見できるようになりました。通常の健康診断は超苦波検査によって行なわれますが、疑わしい症状があるときは、精密検査を受けることが大切です。
  膵臓がんを発見するのに、もう一つ重要な手掛かりがあります。それは、血糖値の急激な上昇です。
  膵臓は、血糖値を調節するホルモンを分泌することから、糖尿病と強い関わりがあります。実際のところ、膵臓がんを発症した方の四分の一は糖尿病を合併していたという報告もあります。
  膵臓がんの治療では、がんが膵臓に留まっていて切除可能な場合は、手術でがんを取り除いたのち、抗がん剤を使用した化学療法が選択されます。
  ただ前述したように、膵臓がんは早期の段階から転移することがあるがんです。こうした場合は、膵臓のがんの切除だけでは病気の好転が見込めないため、放射線療法や化学療法が選択されます。
  膵臓がんの5年生存率は7%以下とされ、非常に成績が悪いのが現状です。毎年、二万人以上が膵臓がんで亡くなっている現実があります。しかし、そうした状況にあっても、最先端医療による治療技術が、日々進歩を続けていることは、付け加えておく必要があるでしょう(生活ホットニュース参照)。
  糖尿病を患っている方だけでなく、糖尿病予備軍の方も、血糖値に急激で大きな変化があったときは軽視せず、精密検査をしっかり受けるようにしてください。


-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年11月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載