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男性なら誰もが経験するー 前立腺肥大症

排尿トラブルに関して悩んでいる男性は多くおられます。
そして、排尿トラブルの原因として一番可能性の高い病気が、「前立腺肥大症」です。

前立腺肥大症とは

 前立腺は、精液の一部となる前立腺液を分泌する臓器です。大きさは胡桃の実と同じ程度。男性にのみ存在します。
  膀胱の出口付近に前立腺はあり、なかを尿道が通っています。このため前立腺が肥大すると、膀胱や尿道に影響を及ぼし、排尿トラブルが起こるようになります。
  前立腺肥大症の男性は30歳を過ぎるころからみられるようになり、年齢が進むとともにその数は増加していきます。ちなみに、80歳代では80%以上の男性に前立腺肥大がみられるという調査結果もあります。
  年を取って、排尿時に尿が残るようになった。頻繁にトイレに行くようになった。尿が勢いよく出ない……。こうした排尿の悩みには、前立腺の肥大が関わっている可能性があります。
 

 

前立腺肥大症の自覚症状を調べる

  前立腺肥大症によっては、生命に危険が及ぶほどの排尿障害が起こっている場合は治療が必要です。しかし、前立腺の肥大はほとんどの男性に起こる症状なので、治療するかどうかは、ご自身がどのぐらい排尿トラブルで悩んでいるかが関係してきます。
  ご自身の状態を客観的に見つめるために、「国際前立腺症状スコア」という国際判定基準があります。表を使って、ど自身で採点してみましょう。7点以下であれば軽症、8~19点なら中等症、20点以上は重症と判定されます。
  15点以上であれば治療を受けたほうがよいでしょう。専門医に相談してください。

前立腺肥大症の検査と治療

 前立腺肥大症の検査では、肛門からの触診によって前立腺の状態を調べる「直腸診」や、排尿の勢いを調べる検査、超音波を使って前立腺の形や大きさを調べる検査がおもに行なわれます。
  前立腺肥大症の治療は、薬物療法が基本となります。一般的には、自律神経の働きに作用する薬を用いて排尿の状態を改善していきます。また、男性ホルモンの分泌をコントロールすることで前立腺の肥大を抑える薬が用いられる場合もあります。さらに、こうした療法に加えて現在では、前立腺を小さくする薬剤も使用可能になりました。
  これらの薬物療法でも症状が改善しない場合や緊急を要する症状である場合は、手術療法が行なわれます。
  手術療法には、尿道から内視鏡を入れて前立腺を削り取る「経尿道的前立腺切除術」や、下腹部を切開して前立腺そのものを取り除く「被膜下前立腺摘出術」があります。

 

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年12月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載