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老化に伴う脳機能の低下や生活の変化など環境的な要因や、遺伝的、内因的な要素の影響によるものよりも、老年期のうつ病は、身体的な疾患が原因であることが多くなります。この点が若い世代の発症との大きな違いです。また、高齢者の場合、典型的なうつ病の症状を示す人は3割ほどなので見落とされがちです。
老年期うつ病には身体的な症状を訴えることが多いという特徴が見られます。例えば、頭痛、肩こり、耳鳴り、吐き気、不眠痩せる、などがあります。これらは原因となる病気があるわけではないのに、身体の不調を訴える、いわゆる心気症候群と呼ばれるものです。
さらに記銘力の低下も多く見られます。これは認知症の初期症状とよく似た、今、聞いたばかりのこと、やったことをすぐに忘れてしまうというものですが、老化による認知症と混同され、見落されてしまうこともあります。
とりあえず、健康状態が悪く、意欲・気分の低下が見られたら、うつ病を疑ってみる必要がありそうです。絶えず不安を訴える場合も同様です。
うつ病の二大誘因は、重大なライフイベントと慢性的なストレスに分けられます。
前者の例としては、近親者の病気や入院、死別など環境の大きな変化、後者の場合は健康上の悩みや経済的な問題、認知機能・行動力の低下、社会的孤立があります。
うつ病は自覚しにくく、周囲の人にもわかりにくい病気です。しかし、病気ですから早く見つけて治療することが大切です。そのためには日常生活で、いつもと違う状態が続き、生活に支障がでていないか、ということに注意しましょう。身近で暮らす家族がそれに気づいて上げられるよう、いつも注意深く見守ってあげてください。
-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2016年2月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載