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軽度認知障害(MCI)のうちに治療することが大切!―アルツハイマー病―

東京オリンピックの開催が4年後(2020年)と、徐々に現実味を帯びて近づいている印象があります。
そうしたなか、東京オリンピックのさらに5年後(2025年)には、認知症患者の数は、現在の1.5倍の700万人に増加するというたいへん気になる予測が、厚生労働省か
ら発表されました。これは、65歳以上の5人に-人という、危憤すべき数値です。
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)について知ることは、こうした新たな時代に備えるために、今こそ必要なことといえるでしょう。

アルツハイマー病とは


  アルツハイマー病は、認知症のなかで発症者のもっとも多い病気で全体の約60%を占めます。
  アルツハイマー病の大きな特徴には、「もの忘れ」があげられます。これはアルツハイマー病の発症が、脳のなかで記憶に関係する部分(海馬)の障害から始まるからです。
  アルツハイマー病は徐々に進行していく病気で、障害を受けた脳はやがて萎縮していきます。そして、病気が進行すると脳の萎縮は脳の広い範囲に及ぶため、もの忘れから始まった症状は、やがて、言語障害や意識障害、他者とのコミュニケーションが取れないといった状態へと進みます。
  アルツハイマー病は自然治癒は望めず、また治療に関しては、現在のところ根治のための治療薬はありません。
  ただ、アルツハイマー病を早期に発見して治療を行なえば、病気の進行を防ぐことや、進行を遅らせることができることもわかってきました。
  そのためにも、アルツハイマー病の前段階である「軽度認知障害(MCI)」 について知っておくことが大切になります。

軽度認知障害(MCI)について


  軽度認知障害(MCI) は、認知症とそうではない状態の中間に位置する状態です。この時点では、もの忘れや記憶障害がありますが、日常生活にはまだ大きな支障は見られません。
  とはいえ、この状態を放置しておくと、5年あまりで約半数が認知症に進んでしまうという非常に危険な状態でもあります。
  軽度認知障害が疑われる状態であるかは、「MCIスクリーニング検査」という血液検査で調べることができます。

 アルツハイマー病は、アルツハイマー病の原因物質とされる老廃物(アミロイドベータペプチド)が、脳内に溜まることで起こるとされています。この老廃物は、アルツハイマー病発症の約20年ほど前から脳に溜まりはじめることがわかっています。
  MCIスクリーニング検査は、アミロイドベータペプチドに関係する血液中の三つのたんばく質の量を調べることで、まずアルツハイマー病の前段階である軽度認知障害になっていないかを検査します。
 

アルツハイマー病の予防

 
  アルツハイマー病の原因物質(アミロイドベータペプチド)の増加を早い段階で防ぐことは、最近の研究から、アルツハイマー病の予防につながると考えられています。
  アミロイドベータペプチドの増加を防ぐためには、良質の睡眠が大事であることもわかってきました。人間の脳は、睡眠中にアミロイドベータペプチドの回収、排出を行なっているからです。
  また、ジョギングやウオーキングといった有酸素運動は、アミロイドベータペプチドを分解する酵素を活性化するので有効です。
  睡眠・運動のほかに、食事や肥満、喫煙、飲酒、ストレスといったさまざまな生活習慣とアルツハイマー病との関係が指摘されています。アルツハイマー病発症のリスクを下げるためにも、できるだけ早いうちから生活習慣の改善に取り組むことが大切です。

 

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2016年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載