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日本では大腸がん患者の数が年々増加しその数は30年前と比べると5倍、死亡者数も年間約5万人にのぼっています。男女別でみると、女性のがんでの死亡数の一位になっているのが、大腸がんです。
しかし、早期発見によって適切な治療を受ければ、大腸がんによる死亡リスクを大幅に減らすことができます。
大腸はおもに、消化物から水分を吸収して大便を生成する役割をしています。
大腸がんは大腸の粘膜にできるがんで、ポリープ(粘膜の一部がイボ状に盛り上がったもの)ががん化したものと、粘膜の炎症が直接がん化したものがあります。
大腸がんの発症リスクや悪化因子には、食生活や飲酒、喫煙、肥満といった生活習慣があげられています。とくに日本人の場合、欧米人に比べて、大腸がんアルコール摂取との関係が強いという調査結果が報告されています。
大腸がんの初期段階は、これといった自覚症状に乏しいという特徴があります。
やがて大腸がんが進行すると、がんによって障害を受けた腸管からの出血が便に混ざっていたり、腸粘膜の腫れによって排便が阻害されることで腹部の異変、便通の異常といったことが起こります。
さらに大腸がんの進行が進むと、激しい腹痛や吐き気、腸閉塞(便が腸を通れなくなる病気)といった重篤な症状が起こるだけでなく、腸管を突き破って腸の外に出たがん細胞による、ほかの臓器への転移が起こります。
大腸がんは、がんの進行度によってステージが0から5段階にわけられてます。
ステージ0
腸粘膜のなかにがんがとどまっている状態。
ステージⅠ
がん細胞が腸内壁の筋層にとどまっている状態。
ステージⅡ
腸内壁の筋層を超えて周囲に広がった状態。
ステージⅢ
リンパ節への転移がある。
ステージⅣ
他の臓器の転移がある。
大腸がんの生存率は、ステージ0〜Ⅱであれば90%を超え、ステージⅢでもリンパ節の転移が少なければ80%近くになります。その一方、ステージⅣまで進行すると、生存率が20%以下へと急激に低下します。
大腸がんは腸のなかに留まっている状態で発見ができれば、高い確率で治療が可能です。大腸がんを早期発見するには、年1回の大腸がん検診が欠かせません。
大腸がん検診はまず、便潜血検査(検便)によって、便に血液が混ざっていないかどうかを調べます。便潜血検査は、採便用の棒で便をこすり取って提出するだけの簡単な検査です。検査としては簡単ですが、便潜血検査を行うことの意義は大きく、便潜血検査で大腸がんの死亡率は60~80%も低下するとさえいわれています。
便潜血検査で大腸がんの疑いがある場合は、精密検査(内視鏡検査や直腸診など)が行われます。大腸の内視鏡検査に関しては痛みはほとんどなく、また痛みが心配な人には鎮痛剤が投与されます。検査時間も20分程度となっています。
-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2016年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載