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脳梗塞には「一過性脳虚血発作」という、脳梗塞の前兆といわれる病気があります。手足の麻痺や言語障害などの障害が起こるこの段階で、適切な対処ができれば脳梗塞の発症など重症化を防ぐことができるとされています。すぐに症状が消えても医療機関できちんと診察・検査を受けましょう。
脳梗塞とは、脳の血管内に血の塊ができることによって、血液の流れが止まってしまうため、そこから先の脳細胞に酸素や栄養を送れなくなり、脳細胞が壊死してしまったり、壊死に近い状態になってしまう病気です。
また、脳細胞のどの部分が死んでしまったかによって、言語障害や運動障害など、どんな後遺症が残るかが違ってきます。
突然。脳梗塞と似たような症状を起こす、脳梗塞の前兆といわれる病気があります。それが、「一過性脳虚血発作」です。
この発作は、一時的に脳の一部の血液の流れが悪くなり、半身の運動障害や言語障害など、脳梗塞のような症状が現われますが、ほとんどの場合、数分から数十分ほどで、長くても24時間以内には消えてしまいます。この、「一時的」というところが油断を誘います。
「一過性脳虚血発作」は脳梗塞同様、脳細胞に栄養を与えている脳の動脈が血栓と呼ばれる血の塊によって詰まってしまいこうした症状が現われます。それでも脳細胞が壊死してしまう前に再び血液の流れがよくなると、脳細胞がもとの機能を回復するため、症状も短時間で消えてしまいます。
しかし、このことは、血管の状態が悪いことを現わしています。次はさらに大きな血液の塊りが詰まり、致命的な状態が起こりかねません。
すぐに発作が治まったからたいしたことはないと、「一過性脳虚血発作」を治療せずに放っておく人が少なくありません。しかし、一過性脳虚血発作から3か月以内に15~20%の人が脳梗塞になるという事実があります。そのうち半数は一過性脳虚血発作を起こしてから数日以内に脳梗塞を発症していることもわかりました。特に48時間以内が危ないといわれます。
それでも「一過性脳虚血発作」後、すぐに医療機関を受診し、検査・治療を開始すれば、その後の脳梗塞発症の危険を減らすことができることも、いろいろな研究からわかってきました。
「一過性脳虚血発作」の治療については、頭部MRI、頸動脈超音波検査や心電図などの検査結果から一過性脳虚血発作の原因を推定、大きく分けて内科的、あるいは外科的という治療の方法が決められます。
予防については右下の記事にあるように生活習慣病の予防・治療が大切です。また、これまでタバコを吸っていた人も、禁煙を続けることで一過性脳虚血発作から脳梗塞への危険性は確実に低下します。
いずれにしても一過性脳虚血発作がすぐに治まったからといって、安心してしまうことは危険です。早急に医療機関を受診、あるいはかかりつけ医に相談するなどしてください。
-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2017年1月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載