健康情報 こんにちわ

 

お口の健康と胃腸の健康 

「不定愁訴」という言葉をご存知でしょうか? 例えば、お腹がすっきりしなくて全身がだるいといったときに、臓器そのものには病気が見当たらず原因がわからない状態をいいます。 もし、皆さんにも心当たりがあるようでしたら、「お口の健康」との関係について考えてみましょう。

よく噛んで食べていますか?

 

 食事を摂ることは、口から始まります。まず、歯で噛むことで、食物を胃腸で消化しやすいように変えます。よく噛まないで食物を飲み込むと、食物の分解・消化・吸収を行なう胃や腸に大きな負担がかかることは言うまでもありません。こうした負担が長年続くことによって胃腸の調子が損なわれている可能性は大いに考えられます。

 

唾液の役割 ―アミラーゼ

 食物を噛むとき、口腔内の食物は唾液と混ぜ合わされます。このときの唾液の役割は、ただ、食物を噛み砕きやすくするというだけではありません。

 唾液には、アミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼは、お米やパンといった炭水化物に含まれる「デンプン糖」を分解して吸収しやすくする酵素です。

 ここで重要なことは、糖という物質は、ブドウ糖や果糖といった「単糖」と呼ばれる状態まで分解されないと体内に吸収できない点です。そして、糖の分解・消化吸収は小腸で行ないます。こうしたことから、お米やパンを食べるとき、良く噛んで唾液によってデンプン糖を分解しておかないと、小腸の負担が非常に大きくなってしまうのです。

 また、よく噛んで食べると、少ない量の食事で満腹感を得られることが知られています。これは、よく噛むことで、食欲をコントロールする満腹中枢という脳の部位を刺激するからとされています。栄養という面からみてもよく噛むことは、比較的少ない量の食べ物から効率的に栄養を摂取できる優れた方法であるといえるでしょう。

早食いは胃腸の健康を損ねる

 よく噛んで食べることが、胃腸の健康にも関わることはわかります。それでも、早食いになってしまう理由はなんでしょうか?

 一つには、子どもの頃からの習慣があります。最近は、歯ごたえの少ない食物が好まれる傾向があります。柔らかい食べ物はどうしても早食いになりがちです。個人や家族で、よく噛んで食べる習慣をつけるようにぜひ取り組んでみてください。

 もうひとつ早食いになる理由として、お口の健康状態も大きく関係しています。

 例えばむし歯は、食物を噛むときに辛い痛みや不愉快感をもたらします。このためむし歯があると、知らず知らずのうちに早食いになってしまいます。

 ご自身やご家族の食事の仕方に変化が出てきたら、むし歯になっていないか注意してください。これは、歯周病に関しても同じことがいえます。歯周病によって歯がぐらついていたり、口に入れた物が滲みるようだと痛みや不快が起こります。

 さらに、むし歯や歯周病によって歯を失ってしまった場合、噛み合わせに変化が起こります。きちんとした治療を受けていれば噛み合わせは回復しますが、それでも、定期的なメンテナンスは必要です。

 

お口の健康は大切

 胃腸の調子が悪い人や下表のような病気がある人は、普段、よく噛んで食べているか思い起こしてください。

 むし歯や歯周病は、いずれは胃腸の健康を損ねる原因となります。少しでも早く治療するようにしましょう。

 

 

お口の健康と胃腸以外の病気との関係もみてみましょう。

 

 

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2017年2月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載