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早期の乳がんにはしこりがない ― 乳がん検診の重要性 

乳がんは、女性の罹るがんでは最も多く、また、患者数は年々増加しています。一方で、乳がんには、病気の進行が遅いという傾向があるため、早期発見できれば治る可能性が高いがんでもあります。乳がんの早期発見のためには、乳がん検診の受診が大切です。

非浸潤性乳がん

 

 乳がんはおもに「乳腺を構成する乳管」に発生します。
 大きく分けると乳がんには二種類あります。がんが乳管にとどまっている場合は「非浸潤性乳がん」、がんが乳管を突き破って広がっている場合を「浸潤性乳がん」と呼びます。
 ちなみに「浸潤」とは、水が少しずつ沁み込んでいくように、がん細胞が周囲に広がっていく様子のことです。
 乳がんの浸潤が起こると、やがてがん細胞はリンパ節や血管内に侵入し、骨や臓器へと転移していきます。

 

 

 

乳房にしこりがないから大丈夫?

 早期の乳がんとは、二種類ある乳がんのうち、「非浸潤性乳がん」のことを言います。この段階であれば、がんが治る確率が非常に高くなります。
 ここで注意したいことは、非浸潤性乳がんの特徴についてです。「乳がんの早期発見には、しこりを見つけることが大切」ということが良く知られています。しかし、非浸潤性乳がんには、(手で触れてわかるような)しこりを自覚できないケースが多くあります。このため、セルフチェックだけだと発見はとても難しいのです。では、どのように非浸潤性乳がんを発見するかというと、マンモグラフィや超音波による検査で見つけていくことになります。
 こうしたことから、「乳房にしこりがないから(検査を受けなくても)大丈夫・・・」という考え方は危険であり、間違っていることにもなります。同時に、乳房にしこりがあるときは、すでに病気が進行していることも考えられます。乳房に異変を見つけたら、積極的に医療機関を受診するようにしてください。

乳がんの原因 - エストロゲン

 

 乳がんの発症には、「エストロゲン」という女性ホルモンが関係しています。エストロゲンは乳腺の発達や妊娠出産だけでなく、女性の身体の動きに多くの影響を及ぼすホルモンです。エストロゲンは身体にとってなくてはならないホルモンですが、その一方で、乳管の細胞をがん化させ、さらにがんを拡大するように働くことがあります。
 乳がんのリスク要因として、過剰な量のエストロゲンに身体が長期間さらされることがあげられています。
 現代の日本人女性は、初潮年齢が早まる一方で閉経年齢が遅くなる傾向があります。さらには、閉経後の肥満傾向。これらは、食生活や生活スタイルの変化が大きく影響していると考えられます。
 ところで、閉経後はエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少するはずなのに、なぜ、閉経後の肥満が乳がんのリスク要因となるのでしょうか? その理由は、脂肪には他のホルモンをエストロゲンに変化させたり、エストロゲンを蓄える働きがあるからです。
 生活習慣が関係する乳がんのリスク要因には、喫煙や飲酒、ストレスも含まれます。また、適度な運動を続けることで乳がんのリスクを下げることもわかってきました。
 乳がん発症のリスクを減らすために、生活習慣を見直すこと。早期発見のために毎日のセルフチェックを欠かさず、乳がん家族歴がある人は、20~30歳代から定期的に乳がん検診を受診すること。乳がん発症のリスクっが高くなる40~50歳代の女性は、さらに、これらのことに気を付けてください。

 

 

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2017年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載