健康情報 こんにちわ

 

患者数が増加を続ける、肺がん 

早期発見のためには、「肺がん検診」を、肺がん予防には「禁煙」を

日本では、年間でおよそ13万人以上が肺がん罹患(病気にかかること)するとされ、この数は、年々増加傾向にあります。がんの患者数としては、大腸がんと胃がんに続いていますが、死亡率では、肺がんがもっとも高くなっています。

小細胞肺がんと非小細胞肺がん

 

 

 肺がんは、肺そのものや肺に近い気管や気管支にできるがんです。

 肺がんの治療は、手術療法、放射線療法、薬物療法によって行なわれますが、具体的な治療計画は、小細胞肺がんと非小細胞肺がんの二つに分けて立てられます。

 これは、小細胞肺がんは進行が非常に早く、また転移しやすいという性質を持つ一方、比較的、抗がん剤が効きやすいという性質があるからです。

 

 

 

肺がんの5年生存率

 肺がんは死亡率が高く、治療の難しいがんでもあります。とくに小細胞肺がんでは、その傾向が高くなります。

 非小細胞肺がんの場合は、早期発見できれば、小細胞肺がんに比べて5年生存率(転移がなければ、がんが治ったと考えられる数字)が非常に高くなるという傾向があります。 その分岐点となるのが、腫瘍の大きさです。おおむね3cm未満であれば、5年生存率が90%に達するのに対し、3cm以上だと60%にまで低下します。

 ちなみに、肺がんにおける小細胞肺がんと非小細胞肺がんの割合は2対8で、非小細胞肺がんの患者が多くなっています。

 

肺がんの早期発見のために

 

 肺がんの早期発見のためにも、肺がん検診を受診しましょう。肺がん検診は、男女の区別なく40歳以上の方が対象になり、年1回以上の検査が必要です。

 肺がん検診では、肺がんに対するハイリスク群の人とそうでない人に分けられます。ハイリスク群には、「喫煙指数」が400以上か、あるいは600以上の人が該当します。喫煙指数は、「1日に吸う煙草の平均本数」×「喫煙年数」。例えば、毎日20本の煙草を30年以上吸い続けている人は、喫煙指数が600を超えるため、確実にハイリスク群に入ります。

 ハイリスク群の場合は肺がん検診のときに、問診と胸部Ⅹ線検査(レントゲン検査やCT検査)に加えて「喀痰(かくたん)検査」が行なわれます。喀痰検査では、3日間、摂取した痰にがん細胞が含まれていないかを検査します。

 ご自身がハイリスク群に相当していても、喀痰検査は受けたことがないという方もいらっしゃると思います。

 喀痰検査では、喫煙が原因で起こる非小細胞肺がんで、肺の中枢に発症した早期がんを検出することができます。肺の中枢に発症した早期がんは、胸部Ⅹ線検査では見つけにくいという特徴があります。ハイリスク群の方は、ぜひ、喀痰検査を受けるようにしましょう。

 

肺がんのリスク要因――喫煙

 

 肺がんのリスク要因として、もっとも大きなものは喫煙です。調査によって数字に違いはありますが、喫煙者は非喫煙者に比べて、おおむね4~5倍以上の肺がんリスクがあるとされています。

 さらに強調しておきたいのは、死亡率が高く治療の難しい小細胞肺がんと、胸部Ⅹ線検査では見つけにくい肺の中枢に発症した非小細胞肺がんは、とくに喫煙との関係が強くなっています。

 肺がんは、高齢になるほど発症率も高くなります。喫煙を止めた年数が長くなればなるほど、肺がんを患うリスクは低下します。喫煙と肺がんの関係については、常に考えていく必要があります。

 

 

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2017年7月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載