広報誌 南東北

 

急増中の熱中症にご用心!!

 熱中症患者が急増しています。消防庁のまとめでも6月末までに病院に救急搬送された人は全国で4278人、死者も3人。前年の2・2倍と例年にない多さで7月に入って更に増えています。6月20日に総合南東北病院で開かれた医学健康講座で同病院の樋口健弥総合診療科長が「今年の夏は熱中症にならないぞ」と題して講演した内容を要約して熱中症予防策を学びます。
熱中症が増えているのは日本だけ。気温が30~40度になるタイやインドで熱中症は少ない。日本人は水分の取り方が間違っている。結論からいうとお茶やコーヒー、アルコールで水分は補給されない。人の体温は朝低く、夕方高い。健康な時も1日に1度程の幅で体温が上下する。夜発熱しても翌朝には下がる。治ったのではなく日内変動による下降で夕方からまた体温が上がる。発熱は夜、は錯覚だ。体温測定の仕方も間違い。成人なら脇の下が多いが、いつも汗をかいている脇の下に体温計を差し込む際、腕を挙げた時脇の下の表面温度は下がり回復に10分かかる。脇の下のほか口内、新生児や未熟児なら肛門の直腸温測定もある。脇の下の体温が一番低く口内が高い。直腸温は更に0・5度ほど高いのを知って欲しい。
 朝起きた時や発熱後に尿の色が濃いのは、睡眠中や発熱で多量の汗をかいて起きた脱水のせい。炎天下で運動したり、長時間アルコールを摂り続けて急に喉がかわいたりするのは体が水分を欲している証だ。喉の渇きや尿量の減、便秘、肌の乾燥などは軽い方。全身倦怠感や立ちくらみ、強い頭痛などが起きたら重度の脱水症。成人は約60%、子どもは80%が水分で体重が少ない方が少量の発汗ですぐに脱水症状を引き起す。乳幼児や赤ちゃんは下痢、嘔吐でも短時間に脱水症状になる。2歳未満の乳幼児を海辺に連れていくのは危険。赤ちゃんの汗はすぐ乾き、脱水に気付きにくい。海から自宅に戻った頃40度近い発熱をしたら風邪ではなく脱水症の高熱。若い母親はよく注意してほしい。
 高齢者に脱水が起きやすいのは細胞内の水分が50%に減り代謝機能が低下したり、腎機能の低下で頻尿になったりするからだ。脱水症状から重篤な疾患を併発することもある。よくあるのが心筋梗塞。血液も水分不足でドロドロになり血栓を作る要因になる。
 脱水症には低張性、高張性の2種類ある。低張性は体内のナトリウムが多く失われ塩分濃度が薄くなっている状態。水分が十分でも塩分不足の状態。大量に汗をかいた後水を摂取した時や下痢・嘔吐が続いている時など塩分が足りない状態を指す。対策は水分だけ飲まず本物のスポーツドリンクや麦茶、そば茶などカフェイン無しのミネラルを含む飲料は予防になる。これに対して高張性は純粋な水不足。自分で水分が摂れない乳幼児や高齢者がなりやすい。軽度なら電解質を含んだ水分を飲めば済むが、重度の場合はブドウ糖を加えた点滴が必要。急激な体液調整は脳浮腫や心不全、肺水腫、重篤な中枢神経合併症を起こす危険がある。
 熱中症は高温多湿状況下で発汗が主な原因で脱水症が起きることで熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病の4種類に大別される。なぜ熱中症が毎年増えるのか。水分摂取の必要性や何をどれぐらい飲めばよいか知らない人が多く水分補給が間違っているのだ。下痢が続いた時は早く水分補給すべきだ。日ごろから食物繊維不足や脂肪の多い食品摂取以外でも水分が不足すると便が固まりやすく脱水症の症状として便秘が現れる。
 「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」を知ってるか。分からないうちに呼気や皮膚から蒸発する水分のことだ。成人男子の水分排泄量は尿や便とこの不感蒸泄900㏄を含め2300㏄位。ちなみに1日最低でも500㏄の尿が出ないと不要な物質が体内に溜まり生命に危険な状態になる。だから排泄された水分に等しい水分を補う必要がある。正常な人が生命を維持するためには最低で1日1000㏄水分を体に取り組まねばならない。
 では水なら何でもいいのか。脱水症の予防という意味では野菜ジュースなど栄養バランスのとれた水分を摂るのが理想。お茶やコーヒーは控えめ。特に缶コーヒーは止めた方がいい。「カフェインゼロ」の麦茶やそば茶、塩などミネラルとクエン酸に少量の糖分が入った本格的なスポーツドリンクはまさに日本人の知恵。2倍に薄めたものがお勧めだ。屋内中心の生活でも食事以外に1日に1500㏄以上の水分を飲むべきだ。
 またのどが渇いた時のアルコールは危険。アルコールには高い利尿作用があり1ℓのビールを飲むと1ℓ以上の尿が出る。アルコールを飲んだ後はスポーツドリンクを飲むと良い。5~9月は大量のアルコール、お茶・コーヒーは飲むな、だ。去年の夏は熱中症にならなかったので今年も大丈夫と思わないこと。体温調整機能の働きは年々弱くなる。誰もが確実に1年の年齢を重ねているのだから―。

熱中症予防のポイント
☆室温をこまめにチェック
☆エアコン・扇風機をうまく使って室温28度以下に。
☆のどが渇いたら必ず水補給
☆外出時は体を締め付けない涼しい服装。日よけ対策も
☆無理をせず適度に休憩を
☆ 栄養バランスの良い食事と体力づくりを

8月4日に病院まつり 第4回よさこいソーラン競演も

 入院患者さんや介護老人保健施設利用者さんを励ましたり地域の人たちとの交流促進を目指した南東北グループ夏恒例の「総合南東北病院まつり」は8月4日①午前10時から今年も郡山市の同病院立体駐車場で開かれます。
 22回を迎える今回のまつりでは、県内外にある同グループの病院・施設で働く職員たちが練習成果を競う第4回よさこいソーラン大競演会はじめ5大平成仮面ライダーショー・握手会、市内小学校マーチングバンドの演奏、ライブコンサート、漫談などが披露されます。また会場では救急車体験乗車コーナーや健康相談コーナーのほか焼きそば、アイスクリームなどの摸擬店、ゲームコーナーも店開きします。

今年もクールビズ実施中 南東北グループ全施設で

 総合南東北病院をはじめとする南東北グループは今年も6月1日から全施設で「クールビズ」を実施しています。
 原発事故に伴う稼働停止で東京電力や東北電力管内の電力不足が深刻化しているのをはじめ地球温暖化防止、省エネ対策に協力するとともに業務効率の向上を目指して実施するもので今年で3年目です。
 期間は9月30日までの4カ月間。具体的には①施設管内冷房の設定温度は高めを基本とし各施設の実情に応じて設定②業務効率アップのため職員の軽装(ノーネクタイ、半袖ワイシャツの着用)を認める―などです。皆さんのご理解とご協力をお願いします。

6月の手術件数

6月に行われた手術件数は550件でした。内訳は、眼科144件、整形外科69件、外科66件、形成外科62件、脳神経外科59件、耳鼻科48件、泌尿器科28件、心臓血管外科22件、呼吸器外科12件、婦人科12件、周産期センター8件、放射線治療科(陽子線)8件、歯科口腔外科4件、小児心臓外科3件、消化器内科2件、循環器科2件、麻酔科1件、となっています。

6月の救急車台数

6月の救急車台数は410台でした。また、診療時間外に受診した患者さんは1209人でした。

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