広報誌 南東北

 

胃薬 PART.2

胃酸から粘膜守る粘膜保護薬 胃の痛みには鎮痙薬

 前回に引き続き胃薬についてお話します。今回は胃粘膜保護薬と胃酸分泌抑制薬です。
 胃粘膜保護薬は、ストレスによって空腹時にも胃酸が分泌されることがあり、胃の粘膜が胃酸で消化され障害が起こるのを防ぐ薬です。成分としてスクラルファートや塩酸セトラキサート、銅クロロフィンナトリウム、アルジオキサなどがあります。
 胃酸分泌抑制薬は、胃粘膜にある壁細胞という胃酸を出す細胞に対して胃酸が出ないようにします。この壁細胞の表面にはH2受容体という生体内のヒスタミンがくっつくところがあります。ヒスタミンがH2受容体にくっつくことで壁細胞は胃液を出す信号を受け分泌します。胃酸分泌抑制薬はヒスタミンがH2受容体にくっつく前に先回りしてくっつき胃液の分泌を抑えます。代表的な薬剤としてはテレビCMでもおなじみのガスター10があります。
 鎮痙薬は胃の異常な緊張、収縮を抑えて胃の痛みを鎮めます。胃の働きには副交感神経が関係しています。この副交感神経の働きを抑制することで胃の痛みを鎮めます。成分としてロートエキス、臭化ブチルスコポラミン、臭化メチルベナクチジウム、臭化チメピジウム、ピレンゼピン、ヨウ化イソプロパミドなどがあります。緑内障や前立腺肥大など副交感神経に関係する疾患がある方は注意が必要です。いろいろな胃薬を挙げましたが、それぞれの症状に応じて薬剤を使い分けて下さい。

(薬剤科 中野洸大)

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