広報誌 南東北

 

骨粗しょう症の治療薬

腸管からのカルシウム吸収促す 活性型ビタミンD3製剤

 骨粗しょう症に使われる薬を紹介します。骨粗しょう症とは骨の量が減って弱くなり、骨折しやすくなる病気です。全国で1000万人以上の患者がいるといわれ、高齢化とともにその数は増える傾向にあります。体の中の骨は生きています。同じように見えても新たに作られること(骨形成)と、溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗しょう症はこのバランスが崩れることで起こり、骨がスカスカになってきます。圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多く見られます、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。
 骨粗しょう症の治療薬としては①腸管からのカルシウム吸収量を増やす薬②骨形成を助ける薬③骨吸収を遅らせる薬―の3つが主に使用されます。今回は「腸管からのカルシウム吸収量を増やす薬」についてお話します。これらの薬には、カルシウム製剤と活性型ビタミンD3製剤があります。骨を作るためにはカルシウムが必要ですが、それをカルシウム製剤(商品名:アスパラCA)で補給します。カルシウムを摂取しても腸管から吸収されなければ意味はありません。そこで腸管からのカルシウム吸収を促す薬の活性型ビタミンD3製剤(商品名:ワンアルファ、ロカルトロール)が治療薬として使われます。カルシウム吸収にはビタミンDが関わり、日光に当たることでビタミンが合成されます。このビタミンDは、肝臓や腎臓で活性型ビタミンD3となり、小腸のビタミンD受容体に働くことでカルシウム吸収が促されます。

(薬剤科 中野洸大)

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