広報誌 南東北

 

不整脈の早期発見

健康診断が大きなカギ 病的不整脈は専門医の受診を

 我々の心臓は生まれてからずっと一刻も休まず脈打っています。夏から秋にかけては疲れやストレスがたまり体調を崩しやすい季節。そんなときに注意したいのが不整脈です。一時的なものから突然死を招く危険なものまで様々だが、正しく治療すれば普通の暮らしができます。重要なのは早期発見することです。

高齢、避け・喫煙習慣者に多い症状 重症化すると突然死の危険も

血行良くしかぜの予防 健康な人の脈拍は平常時で1分間60~80回。100回位までは正常範囲とされ、それより多い場合や50回以下など極端に少ない場合は「不整脈」と考えられる。不整脈になると心臓は規則正しい収縮を行えず脈が早くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、脈が飛んでしまったりする。リズムがでたらめになる心房細動、心室細動ということもある。頻脈には発作性頻拍症があり、徐脈には房室ブロック、洞不全症候群がある。時々脈が飛んでしまうものは期外収縮と呼ぶ。
 不整脈によって現れる症状は動悸、息切れ、胸の不快感(苦しく感じたり、詰まる感じがする)、めまいや立ちくらみ、疲労感、吐き気など。場合によっては意識を失うこともある。軽い場合はほとんど自覚症状がない。心臓は一定の電気信号により定期的に正しい鼓動を繰り返すが、信号が心臓にうまく伝わらないと不整脈が起こる。若い人より高齢者に多く、高血圧や心臓病、飲酒・喫煙習慣のある人に症状が出やすい。精神的なストレスも原因になる。
 頻脈性不整脈の中で怖いのが「心室頻拍」や「心室細動」。心室は全身に血液を送り出す働きをするポンプの役割の部屋が痙攣を起すもので血液の循環が円滑にできない。軽度の心室頻拍なら血圧が下がる程度だが、ひどい場合は失神することもある。心室細動になると心停止の状態に陥り数分間放置すれば死に至る。これらは致死性不整脈と呼ばれ突然死の原因となる。患者に危険性がある場合は「植え込み型除細動器(ICD)」を体に植え込む治療を行う。
 心房細動は心房全体からの電気信号がバラバラに発生している状態。健康な人でも酒を飲んだ翌朝やストレスで起きるほか加齢とともに起こりやすくなる。心房細動は激しい動悸や息切れの原因になるほか収縮できない心房の中では血液がよどみ、左心房の中に血の固まりができやすくなる。その血栓が血液に乗って脳や全身の血管に詰まってしまい血流の妨げになると脳梗塞などの原因になる。脳梗塞は生命の危険を伴う病気で命が助かっても手足の麻痺など後遺症が残る例が多い。心房細動は、頻脈性の不整脈で大半が器質的な心臓病が原因で起こる。心室細動に移行する恐れがあるため早急に治療する必要がある。
 こうした不整脈は重症化すると突然死の危険性が増す。自覚症状が強く、日常生活に支障がある場合も早めの治療が大切。早期発見するには定期的な健康診断が効果的だ。会社や自治体の健康診断など機会があれば必ず受診、不整脈に限らず病気の発見に努めたい。心電図検査で不整脈や心房細動を指摘されたら自覚症状の有無にかかわらず循環器内科を受診。通常の検診の心電図検査では5~10秒程度しか記録されず、より精密な検査が必要だ。病的な不整脈が見つかったり、異常な心電図波形が出た場合は一刻も早く専門医の治療を受けるべきだ。健康維持には大切だ。

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