広報誌 南東北

 

骨粗しょう症の治療薬③

骨吸収を防ぎ骨量を増やす ビスホスホネート製剤

 今回は骨粗しょう症治療薬の「骨吸収を遅らせる薬」でビスホスホネート製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)があります。
 ビスホスホネート製剤は破骨細胞の働きを強力に抑えることで骨吸収を防ぎ、骨量を増やします。中~重度の骨粗しょう症に使われますが、腸管からの薬物吸収が悪いため「起床後すぐに服用し、その後30分は水以外飲んだり食べたりしてはいけない」など制限が付きます。ビスホスホネート製剤による骨粗しょう症治療薬にはアレンドロン酸(商品名:ボナロン)、リセドロン酸(同:アクトネル)、ミノドロン酸(同:リカルボン)などがあります。
 選択的エストロゲン受容体モジュレーターは、骨のエストロゲン受容体に選択的に作用する薬です。エストロゲンは女性ホルモンの1つですが骨吸収を抑制する作用があります。閉経後の女性は急激に骨量が減少しますが、その主な原因はエストロゲンの欠乏です。エストロゲン製剤を投与すると骨量の減少を抑え、結果として骨量増加に繋がります。ただしエストロゲンには、乳がんなどの発がん性があります。このため子宮や乳房のエストロゲン受容体に作用せず、骨のエストロゲン受容体にだけ作用することができればエストロゲンによる発がん性を気にせず服用することができます。選択的エストロゲン受容体モジュレーターとしてラロキシフェン(同:エビスタ)、バゼドキシフェン(同:ビビアント)などがあり、主に閉経後に起る骨粗しょう症治療に使われます。

(薬剤科 中野洸大)

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