広報誌 南東北

 

脂質異常症

原因の8割が生活習慣病 動脈硬化起こし高まるリスク

 以前は高脂血症と呼ばれていた脂質異常症。血液中の脂質が増え過ぎて〝血液がドロドロの状態〟です。発熱や痛いといった症状がないためつい放置しがちですが、増えた脂質が血管の内側に溜まり動脈硬化を引き起こします。それでも自覚症状がなく、心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こして初めて脂質異常症の重大さを知ることになります。
 血液中には4種類の脂質があるが、多すぎて問題なのがコレステロールと中性脂肪。脂質異常症には①LDL(悪玉)コレステロールが多い②HDL(善玉)コレステロールが低い③トリグリセライド(中性脂肪)が多い―の3タイプがあります。その原因で最も多いのが高カロリー・高脂肪の食事と運動不足、それに悪い生活習慣や肥満などで「脂質異常症の8割は生活習慣病」といわれます。日本人は元来魚類や穀物、海藻類などの健康的な食事が主でしたが、現代の食生活は洋風化し肉食中心のうえ暴飲暴食、喫煙、アルコール摂取とエネルギー過多になりがち。更に生活が便利になり慢性的な運動不足で悪い生活習慣はそのままメタボリックシンドロームの原因にもなります。メタボは脂質異常症のほか糖尿病や高血圧症など複数の生活習慣病を併発した状態で様々な病気のリスクを高めています。
 これを防ぐには生活習慣の改善。メタボ予防にもなるし食事面でのコントロールが重要です。①摂取総エネルギー量を抑え適正体重を保つ②過食は禁物。高脂肪食を控える③野菜や食物繊維の多い食材を先に食べる④1日3食規則的によく噛んで食べる。夕食は高カロリー食を避ける⑤スナック菓子などのダラダラ食いを止める⑥栄養バランスを考えた食事を心がける―など。炭水化物・たんぱく質・脂肪の配分をバランスのとれたものに改善します。エネルギーの摂りすぎは肝臓でコレステロールの合成を促進させます。
 食品からのコレステロール摂取量は1日300㎎以下。悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすために脂肪の多い肉や卵を減らし魚や大豆製品を毎食1品摂りたい。青魚には中性脂肪を減らしコレステロール値を下げるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く、必ず摂取したい食材です。血液をサラサラにする成分が多いワカメなど海藻類やタマネギ、大根などを加えたサラダも効果的。アルコールは1日25g以下が適量でビールなら中瓶1本(500㎖)、日本酒は1合(180㎖)、ウイスキーはダブル1杯(60㎖)が目安です。
 運動も積極的にすべきで、お勧めは脂肪の燃焼効率を向上させ中性脂肪の減少、コレステロールの低下を促進する有酸素運動の継続。ウォーキングやジョギング、水泳、自転車、社交ダンスなどがあるが、1日30分~1時間ぐらい汗ばむ程度歩くことから始めたい。ウォーキングで体を慣れさせ徐々に距離を延ばし、ジョギングに切り替えていく方法もあります。呼吸を意識して体内に多くの酸素を取り入れることを身につければ効果が期待できます。まずは1ヶ月、達成できたら3ヶ月。とにかく根気よく続けることです。運動を行う時はかかりつけ医にどんな運動が適しているか、運動量などの指示を受け、無理なく行うべきです。できれば禁煙。準備体操や整理体操も忘れずに、です。

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