広報誌 南東北

 

乳房の病気とその症状

早く見つけ早く治療、治る乳がん 1に食生活、2に定期健康診断

 健康な米人気女優が乳がんを避けるため乳房の切除・再建手術を告白し話題になりました。日本では乳がんの罹患・死亡率とも増えており女性の大きな関心事です。乳がん以外にも乳房の病気は軽いものから重症のものまでありますが、早く見つけ、早く治療することが肝心。乳房の病気と治療・予防法を探ります。
 乳房の病気というと真っ先に思いつくのは乳房内の乳腺にできる悪性腫瘍の乳がん。日本人女性のがん発生率は欧米より少ないといわれてきたが、年々増加し罹患率は今やトップ。乳房に小さな豆粒大のしこりができ、痛みはないが手で触るとコリコリして硬く指でつまむと皮膚が引っ込む。しこりは、がんの進行とともに大きくなるが、自分で早期に発見し治療を受ければ治るがんです。定期的な自己検診と40歳以上の乳がん検診が欠かせません。治療法は、がんの進行度により異なるが、基本は病巣を切除する摘出手術。最近は乳房温存療法が主流になりつつあるが、タイプや部位により全切除もある。手術前後の抗がん剤やホルモン剤投与もある。いずれにしてもがんが小さいうちに治療することが体の負担が少なくて済む。術後1~3か月に一度検診を受け、転移の有無を調べる必要があります。
 乳がんになりやすい女性の危険因子は①40歳以上②30歳以上の独身③初産年齢の高い人④出産回数が少なく授乳をしない人⑤高脂肪・高たんぱく質の肉を良く食べる人⑥肥満⑦初潮が早く閉経が遅い⑧肉親に乳がんの家族歴⑨片方に乳がんや両性乳腺疾患の既往がある―など。一つでも該当すれば乳がん検診がお勧め。第一に食生活、第二に定期健康診断を肝に銘じ乳がんの予防と早期発見に努めたい。
 乳房の病気は乳がん以外にも乳腺炎、乳腺症、乳腺のう胞、乳輪炎・乳頭炎、乳腺線維腺腫、葉状腫瘍―などいろいろあります。乳がんと間違いやすいので要注意です。
 そのうち乳腺炎は授乳中の人に多く、母乳のたまり過ぎや乳首などからの細菌の感染で起こります。乳房が赤くはれて熱く痛みを伴い発熱することも。痛みがない時はがんの可能性もあり要注意。抗生物質で感染や痛みを抑え、炎症が強く膿がたまった時は切開することもあります。
 乳腺症は乳腺の病気の中で最も多い良性の症状。30代以上の成熟期女性に多く、片方か両方の乳房に表面がデコボコした形のはっきりしないしこりができます。乳がんのしこりと違って痛みがあります。生理前や生理中はしこりが大きく痛みも強く、生理後は症状が軽くなるのが特徴。女性ホルモンの一種のエストロゲンの分泌が低下する閉経後に発症しないためエストロゲンの過剰分泌が原因と考えられるが、はっきりしたことは不明。治療にはたんぱく同化ホルモンや性ホルモン剤を投与し効果がない時は外科的治療を行うこともあります。
 乳輪炎・乳頭炎は乳輪や乳頭にただれや湿疹ができ、かゆみが伴うこともある症状。乳輪や乳頭部分は多くの皮脂腺によって保護されているが、皮脂分泌の減少で炎症を起こし、細菌に感染すると化膿することも。まれに乳管上皮にがんが発生、乳輪や乳頭の表皮に広がる乳腺パジェット病によるものもあり見つけたらすぐ受診です。細菌に感染の場合は抗生物質入りの軟膏が処方されます。化学繊維の下着の人に多く、自然素材を選んだほうがいいようです。
 いずれにしろ乳がんを含め乳房の病気は早期発見・早期治療がカギ。平成16年にマンモグラフィー検診の対象年齢が40歳以上に拡大され、受診率は30%台ながら平成24年に死亡率が初めて減りました。受診率が上がれば死亡率は下がりそうなだけに検診はますます重要。自己診断でしこりの有無を調べるほか定期的に検診を受けたいものです。

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