広報誌 南東北

 

南東北Gが5月末医学部新設を申請

28年春開学を予定 東北の医師不足解消に貢献


医学部新設の構想を発表する渡邉理事長(左)
 郡山市の総合南東北病院などを運営化する(一財)脳神経疾患研究所は4月14日、国が東北で1校認める医科大学医学部新設に名乗りを上げました。渡邉一夫理事長が記者会見し設置構想を発表しました。県内からの立候補は初めて。構想では同病院の敷地内に校舎を建て1学年100人程度で学生全員を奨学生として支援。5月末までに文部科学省に申請し平成28年春開学を目指します。
 設置申請を決めたのは、国が昨年暮れ、東日本大震災からの復興と東北の医師不足解消、原発事故からの再生を目指し特例として東北地方に1校限り医学部新設を認可する方針決定を受けたものです。
 震災後の本県は、原発事故からの復興が思うように進まない問題もあり若年層を中心に人口流出や医療従事者の減少に歯止めがかかっていません。医師数は震災前に比べ宮城県が123人、岩手県が27人増えているのに本県は195人も減少。その中で少子高齢化は進む一方です。
 脳神経疾患研究所を中核とする南東北グループは昨年末から各界有識者の意見を聞きながら復興貢献策を検討。その結果、安全・安心の社会環境づくりの一翼を担い地域に密着した医学部を設置し医師の育成を目指すという結論に達しました。本県は研究・連携力で新たな医療を創出する福島県立医科大学や伝統ある多くの医療機関が活動、医療機器生産・受託生産額でも全国トップレベル。首都圏に近く産学官連携の研究や関連産業の育成にも貢献でき、年間300臆円以上の経済効果も見込めると予想されます。
 構想では、同市八山田の同病院敷地約4万㎡をキャンパスとして内環状線南に校舎を建設する。初年度の学生は100人程度で、2~3割は海外から留学生として受け入れ日本語と英語で教育。入学者全員を奨学生として経済的に支援する代わり卒業後数年間、東北の医療機関で勤務することを義務づけます。このための資金は基金を募り対応します。教職員は従来の設置基準から140人程度を見込み、教授は国内外から公募するほか南東北グループ病院の医師約400人の中から起用、すでにWHO(世界保健機関)のスリランカ人幹部に副学長の就任を打診中です。
 主な研究方針としては福島医大や地域医療機関と協力、臨床に重点を置きながら原発事故を含む大規模災害時などに地域を支援できる医療提供態勢の研究、がん撲滅に向けた国際的な臨床・研究事業の展開などに取り組むとしています。特に南東北グループではPET・PET―CTが10台、陽子線治療装置1台、サイバーナイフ、リニアックといった先端医療機器を備えるとともに現在、BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の研究所を建設中。がん治療では優れた実績を示しています。
 渡邉理事長は「医学部の新設で人口流出や医療従事者の減少に歯止めをかけたい。強い使命感を持った医師を育てたい」と語っています。医学部新設については仙台市の東北福祉大と東北薬科大の2校が名乗りを上げています


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