広報誌 南東北

 

医大新設「震災復興に必要」 各界代表が誘致シンポジウム

発展性のある郡山にぜひ 意欲ある若者育成に賛同


 郡山市を中心に医療、経済、法曹など各界関係者でつくる「福島県への医科大学誘致を推進する会」の公開シンポジウム(福島民報社・福島民友新聞社後援)が4月9日⑥午後、同市のホテルハマツで開かれ、品川萬里郡山市長や作家の玄侑宗久さんらが約1200人を前に本県への医大新設の必要性を訴えました。
 東日本大震災の復興支援策として文科省が東北で1校だけ医学部新設を認める方針を決めたのを受け、脳神経疾患研究所を中核とする南東北グループが名乗りを上げ、5月末に同省へ申請する予定です。
 シンポジウムは五十嵐忠行医療法人やすらぎ会理事長がコーディネーターを務めて開会。主催の滝田三良同推進する会長が「放射能の危機を考える会の提言でセーフティーネットや医療研究機関などモノはできる見通しだ。残るのは人の育成。人体への影響など専門的な知識を身につける教育が必要だ。医大を誘致したい」とあいさつしました。
 品川郡山市長は「医療教育と医療システムの調和ある発展が基本。震災後の本県の医療は世界の関心事だ。医療関連の研究機関ができるし研究者が十分に研究できる環境づくりが大切。2つ目の医大はここしかない。郡山にできる意義は大きい」と訴えました。内藤清吾郡山商工会議所副会頭は「原発事故により我々は30年後の子供たちをモニターする役目がある。人口減や高齢化が課題だが、郡山の戦略の1つは若者が集う街づくり。大学や研究機関に優秀な若者が集うことで世界に発信するマチができる」と主張。芥川賞作家で東日本大震災復興構想委員の玄侑さんは「本県が経験した緊急時医療の蓄積がたくさんある。不足なのは医大。震災で身内の死に直面し医師を目指す若者も芽生えており、そういう意欲は県内で受け止めるべき」と持論を展開しました。
 福井邦顕日本全薬工業代表取締役会長は「復興途上の本県で医学部新設はタイムリー。医師不足の中で県外流出防止にもなる。医療機器や最先端医療の開発、マチづくりにもつながる」と強調。県社会福祉協議会長でもある瀬谷俊雄地域経済活性化支援機構代表取締役社長は「福島の原発事故は日本の危機といえる特筆すべきこと。被災3県のうち人災は本県だけ。本県にはオールジャパンで支援すべき。医大の実現は当然。なぜ郡山かは本県のへそ、人口が多く将来にも残るマチだからだ」と考えを披歴しました。
 菊地眞公益財団法人地域医療機器センター理事長は「研修できる場があれば若者はきっと残る。発展性がポイントだ。医療機器は輸入依存度が高い。関連産業が集積、研究もでき第2の自動車産業を目指す拠点が郡山にできる。少子高齢化に対応した国の健康医療戦略でもここが最適」と指摘。滝田会長も「福島は人災で放射能に汚染されたが、汚染水さえも解決していない。人災なのだからきちんと専門知識をマスターする医学者を育成すべきだ」と強調。遠藤重子小金林保育園長は「子供が病気になった時どうしたらいいか分からない若い親が多い。小児科医も少ない。医大でしっかり教育して安心して子育てできる環境が大事だ」と語りました。
 元東北大総長の吉本高志脳神経疾患研究所最高顧問は「皆さんから多くの提案をいただいた。重要な1つは教育のカリキュラム。南東北グループの根本理念は〝すべては患者さんのために、最先端の医療を提供する〟で教育の基にしていきたい。現在ある80医科大学に劣らない教育。素晴らしい情熱と使命感あふれる若者たちを育てたい」と情熱を披露しました。
 パネラーの意見に南東北グループの渡邉一夫理事長・総長は「皆さんの励ましに勇気がわきました。医学部実現は夢ではありません。何とかして勝負に勝ちたい」と医大誘致成功に意欲を見せました。

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