広報誌 南東北

 

AEDの使い方 まず119番通報・AED手配 救急到着前の心肺蘇生が分かれ道

最新手順は胸骨圧迫―気道―人工呼吸 胸圧迫30回、人工呼吸2回の繰り返し

 心臓発作による死亡者は年間6万人といわれます。心臓発作の危険がある家族がいる方や発作に苦しむ人に遭遇した時は対処法を知っているかどうかが大きなカギです。9月18日(木)に総合南東北病院で開かれた医学健康講座で管桂一同病院副院長(麻酔科)が「AEDの使い方」と題して講演した内容を要約して緊急時の対処法を学びます。
 「AED」とは、Automated External Defibrillatorで自動体外除細動の略。自動的に体の外から心臓に電気ショックを与え、細かく動き震えている状態を取り除く器械だ。製品の使い方はほぼ同じで現在、全国で約40万台ある。
 使用するのは心臓が止まった時。昔は脈のある無しだったが、倒れた人に意識が無く呼吸が止まっている場合は、心臓が止まっていると判断していい―となった。
 スイッチが入ると器械が日本語の音声で案内する。ただこの器械があれば万能ではない。その前にしっかり胸を強く早く押す、人工呼吸をする―心肺蘇生が必要だ。これをやらずにAEDだけで生き返らせることはできない。
 具体的には、倒れた人がいたら①「大丈夫か」と声をかけ反応を確認②反応が無い場合は「誰か来て。人が倒れている」と大声で応援を呼ぶ。その際「人が倒れていることの119番通報」、「AEDを持ってきて」の2つを頼む。学校や市民会館、公民館、駅、体育館などの公共施設やホテル、デパートなどにはAEDが備わっており、誰かに持ってきてもらえる可能性が高い。
 同時に倒れている人が普段通りの呼吸かどうか5~10秒間観察する。普通の人の呼吸は1分間に20回ぐらい。1~2秒では分からない。息をしていたら横向きにするといい。患者さんが口から何か吐いた時に取り出すのが容易だ。息をしてないか、普段の呼吸でない場合は、両手を重ね胸の中央部分を圧迫する。「サーキュレーション」(C・循環)といい、大人は5㎝以上(子どもは胸の厚さの3分の1以上)、1分間に約100回のリズムで圧迫のたび胸壁が元に戻るのを待って1分間に30回押す。また頭を後ろにそらし、あごを上げて「エアウエイ」(A・気道確保)を行い気道確保。続いて鼻をつまんで口から息を吹き込む「ブリージング」(B・口対口人工呼吸)を2回やる。昔はA、B、Cの順だったが、世界の心肺蘇生の学者が5年ごとにどの方法がいいか協議の結果、2010年にC(循環)、A(気道)、B(呼吸)順に変わった。これが一番新しい心肺蘇生法だ。
 AEDは患者さんの頭近くに置く。電源を入れ電極パッドを右胸の上、もう1つを心臓の左脇に隙間なく貼ると器械が自動的に電気信号を解析する。「押せ」でショックボタンを押す。この時誰も傷病者に触れていないことを確認。怠ると一緒に感電する。
 心臓が止まって間もなくは心室細動といって小刻みに震えているが、電気ショックを与えると正常に戻る可能性がある。AEDの効果がない場合は心静止といって心電図は平で波形がない。大切なことは「AEDを早く使う」と使うまでの間に「胸の圧迫と人工呼吸を繰り返す」ことだ。
 AEDの器械はどれも同じようで2分間ごとに時間を刻み、判断する。「ショックは不要」の案内もあるが、これは正常に戻ったか、心電図の波形が平になったかのどちらか。患者さんが手足を動かしたり、声を出すなど反応があるまで続けるか、救急隊が到着するまで30回の胸骨圧迫と2回の人工呼吸を繰り返す必要がある。AEDがあっても心肺蘇生法を知っていないと助かるものも助からない。日赤や消防署などでの講習会をぜひ受けてほしい。


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