広報誌 南東北

 

痛風・高尿酸血症 ―〝痛風は男性の病気〟は昔話 若い女性にジワジワ増加―

過食改善と適度な運動 プリン体カットより効果的


 風が吹いても痛いというほどの激痛が起こる痛風の予備軍ともいえる高尿酸血症。その患者は約500万人ともいわれます。痛風は、かつての日本ではほとんど見られない病気でしたが、食生活の変化に伴い1960年代以降、過食や運動不足が社会問題化するのと同時に増えてきました。
 「痛風は男がなる病気」というイメージが強く持たれています。実際、厚労省の国民生活基礎調査によると1998年度に痛風の通院患者は59万人で10年前の2倍に増えました。その9割は40~50代の男性です。ところが最近、女性の痛風患者が増えています。痛風は血液中の増え過ぎた尿酸が、結晶化して関節に溜まることによって起こります。女性ホルモンには腎臓での尿酸の排出を促す働きがありますが閉経期以降、このホルモンの分泌が低下し血液中に尿酸が溜まる傾向になるためと考えられます。基本的に女性の痛風患者は少ないのですが、ライフスタイルの変化によって過食や運動不足が女性の間にも広がってきたようです。更年期を迎えた女性は気をつける必要があります。
 尿酸値は健康診断の項目に含まれているのでチェックしてみてください。血液中の尿酸値が7㎎/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。
 尿酸値が高くなる原因は、プリン体にあります。プリン体が尿酸になるからです。一時期マスコミでも大きな話題になったのでご存知の方も多いと思いますが「プリン体カット」をセールスポイントにしたアルコール飲料もあります。プリン体は細胞の核の中にあり細胞が分解されるとき放出されます。食品の大半に含まれ、細胞数の多い食品ほどプリン体は多く存在します。
 プリン体に関しては近年、食品や飲み物から摂るプリン体の量より、体内で合成されるプリン体の量の方が多いという重要なことが分かってきました。このため痛風・高尿酸血症対策には、プリン体の過剰摂取を意識的に抑えることも大切だが、それだけでは不十分だと考えられるようになってきました。
 その対策とはどんなことでしょう。高尿酸血症には肥満が関係しています。肥満は体内のインスリンの働きを悪くします。これによって尿酸の産生量の増加と尿酸の排出の阻害が起こるためです。肥満を客観的な数字で表すのにBMI(体格指数)が使われます。BMIの計算は体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で、その値が22であれば標準、25以上は肥満と判定されます。
 BMIが25以上の人の実に4人に1人が高尿酸血症を発症しています。高尿酸血症は痛風だけでなく、腎臓の機能低下や尿路結石の原因にもなります。BMIが25以上であれば直ちに生活習慣を改める必要があります。
 プリン体の多い食品を避けることも大切ですが、まず食べ過ぎ・飲み過ぎを改善すること。食生活の改善は、栄養のバランスを重視して食べる量や消費カロリーに注意した方がより効果的です。そして水分を多めに摂って尿の排出量を増やすように心がけ、さらに運動不足を解消するためにウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行う習慣を取り入れたいものです。

トップページへ戻る