広報誌 南東北

 

口腔内の健康と喫煙

喫煙者の歯周病疾患リスク4~6倍 歯9本以上失うリスクは約2倍

 たばこの煙には数百種の有害物質が含まれ、体のあちこちに深刻な影響を与えます。肺がん、心筋梗塞などの心臓疾患、喫煙による低体重児の出産などは多くの人が知っていますが、口腔内の健康への影響については意外に軽視されています。歯の色が悪くなりノドや気管支を痛め、口臭が強くなると分かっても歯周病が悪化し、歯を失うことはあまり意識しないようです。
 調査によると一日20本以上喫煙する人が歯周病になるリスクは、たばこを吸わない人に比べて4~6倍。さらに歯を9本以上失うリスクは約2倍といわれます。こうした数字は喫煙本数や年数が増えるほど高くなります。
 健康な歯肉はピンク色をしています。これは多数の毛細血管が存在する歯肉において血液の流れが良い状態を反映しています。たばこの3大有害物質はタール、ニコチン、一酸化炭素です。喫煙時にたばこの煙を最初に直接受ける歯肉は、この有害成分のニコチンを直接粘膜から吸収します。このとき血管を収縮させる作用を持つニコチンによって歯肉の毛細血管の血液の流れが低下します。一酸化炭素とヘモグロビンの結合で歯肉が酸素不足になります。喫煙習慣が長い人の歯肉が黒っぽく見えるのはこのためです。ニコチンと様々な有害物質の複合体のタール、さらに血行不良や唾液分泌の低下も口臭の原因となります。
 喫煙によって歯肉の血流が悪くなると歯肉は硬くなり、歯と歯の間に大きな隙間が生まれます。歯周病は歯肉に細菌が繁殖することによって起こります。硬くなり、歯との間に隙間のある歯肉は、細菌にとっては繁殖しやすい環境で、やがて細菌は歯の根の組織を破壊し、歯を失わせます。また歯肉がんや舌がんの危険性も高まります。喫煙はたばこを吸っていない周りの人にも害を与えます。思いきって禁煙を始めてはいかがですか。

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