広報誌 南東北

 

機能性胃腸症

 学校や職場、家庭などの問題でストレスを感じて胃が痛くなる―といった経験のある方は少なくないと思います。胃は自律神経によって機能しています。このため胃そのものに病変が無くてもストレスによって自律神経の働きに乱れが生じると胃の機能にも悪影響が及び、胃の痛みへとつながります。この様な病気を「機能性胃腸症」あるいは「機能性ディスペプシア」(NUD)と呼ばれます。
 具体的には、胃の機能に乱れが起きると胃の粘膜を保護する物質の分泌が抑えられ、逆に胃の粘膜を刺激する胃酸の分泌が増えることにより胃痛が起こります。また胃酸による胃への刺激が過剰に伝わる知覚過敏も機能性胃腸症にみられる代表的な症状の1つです。わが国では4人に1人がこのような症状を訴え、そのうち約3割が医療機関を受診しており、今後も増加傾向にあるとみられます。
 これらの原因は精神的ストレスだけでなく、過労や睡眠不足など肉体的なストレスも関係しています。治療には消化器管の運動を調節する薬や胃酸の分泌を抑える薬による薬物療法が行われます。また精神的ストレスが主な原因の場合は、抗不安薬や低うつ薬の処方が検討されます。同時に睡眠時間や運動によるストレス対策、食生活の改善など生活習慣の改善に取り組むことで症状の改善が期待できます。胃の痛みは心身の健康状態を表す重要なサイン。そのまま放置せず、かかりつけ医に相談することが大切です。

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