広報誌 南東北

 

がん療養生活を支える制度 「がんサロン」ミニ学習会 -長期の高い薬代には多数回制度 病院・薬局の領収書保存は必須-


負担軽減に制度の活用を呼び掛ける加藤さん
 がんと診断され治療が必要な人にとって不安はいっぱいです。中でも治療費は、薬代は、仕事を休んだら所得補償はどうなるの、といった経済的な負担は心配の種といえます。 4月15日(水)に郡山市の南東北がん陽子線治療センターで開かれた「がんサロンほっと」で総合南東北病院医療相談課の加藤裕美さんが「知っておきたい療養生活を支える制度の仕組み~がん治療経過とともに」 と題して話したミニ学習会の内容を要約し、知っておきたい制度を学びます。
 Aさん(56)は腹痛を訴え救急車で運ばれ、大腸がんと診断され、緊急手術を受けました。一時的に人工肛門を造設し1ヶ月ほど入院しました。退院の翌月から再発防止のために抗がん剤治療を開始しましたが、 人工肛門の閉鎖などで経過があまり良くなく入退院を繰り返しました。抗がん剤の影響で体力が低下、全身のだるさもあって家事が難しく今後、動けなくなるのでは、と不安に駆られています―。 Aさんの例です。大腸がん手術には137万円かかりましたが、健康保険に加入していたため自己負担分は3割の41万円でした。でも決して安くない費用です。
 そこで利用できるのが「高額療養費制度」です。月の初めから月末までにかかった同じ医療機関の医療費が高額になった場合、一定の自己負担額を超えた部分が払い戻されます。 年齢や所得に応じ、本人が支払う医療費の上限がありますが、Aさんの場合41万円を一旦支払った後に32万円の払い戻しを受けることができます。ただ一時的に多額の支払いが難しい場合もあります。 その時は「限度額適用認定証」の利用ができます。
 健康保険証と限度額適用認定証を提示すれば窓口での支払いを自己負担限度額で済ませることができます。限度額適用認定証は、健康保険の窓口で申請すると発行してもらえます。 急な入院で本人が行けないときには家族でもOKです。限度額適用認定証の提示でAさんの窓口支払額は9万円程度に抑えることができます。70歳以上の人は限度額適用認定証の申請はいらず、自動的に窓口支払いが上限に留められます。
 長期の高い薬代には多数回制度 病院・薬局の領収書保存は必須
 Aさんのように抗がん剤治療などが長期で高額の医療費がかかる場合に負担を減らす方法もあります。「多数回制度」で直近12か月の間に3回以上高額療養費の支給対象になった月があれば4回目の治療費の自己負担限度額が減額されます。 Aさんの4回目の治療費の自己負担金額は4万4000円で済みます。こうした制度の申請には領収書が必要で入院、外来、薬局の領収書はきちんと必ずとっておくべきです。
 治療のために仕事を休んだ場合「傷病手当金」がもらえることもあります。病気やけがのために勤務ができない場合、健康保険から最長1年6ヶ月手当てを受けることができる制度。 ①病気や怪我により就労不能②給料が支払われていない③勤務できなかった日が継続して3日以上―などが条件。給付金額は休業1日につき標準報酬日額の60%です。傷病金が切れた場合は、「障害年金」なども利用できます。 病気や怪我で生活が厳しい場合、65歳未満でも年金がもらえる制度です。手足を動かしたり、話せるがん患者さんは申請しない場合が多いが、「その他の障害(悪性新生物)」で申請可能です。 日常生活に支障を来す場合には、担当医に自身の症状をきちんと伝え、診断書に詳しく記入してもらうと良いでしょう。
 がん治療には多額の費用がかかりますが、このように療養中に利用できる制度が多くあり、うまく活用すれば自己負担額を最低限に抑えることができます。知っているのと知っていないでは負担額が大きく差がありますので、 この機会にぜひご確認ください。
 当院では、患者さん同士やその家族が交流を含め、がんに関する情報交換、困ったことを気兼ねなく話せる場として「がんサロン」を毎月第3水曜日に南東北がん陽子線治療センター4階ラウンジで開いています。 次回の「がんサロン」は7月22日(水)午後2時からでテーマは「緩和ケアについて」です。


患者さんからの礼状

 3月21日午後「しまむら」の駐車場で急な目まいと腹痛で倒れ込んだところ、通りかかった「南東北病院看護師の斎藤さん」という方に助けていただきました。 救急車が来るまで斎藤さんの娘さんでしょうか、持っていたマフラーを頭の下に敷いたり、かいがいしく介抱していただきました。 後で病院に駆け付けた主人が下のお名前をお聞きしましたが「看護師として当然のことをしたまで」というだけで分からずじまい。 きちんとお礼しなかったことが悔やまれてなりません。本当にありがとうございました。(郡山市・H・Y、女性、61)


 私はM・Yの孫です。このたびは大切な祖母M・Yに陽子線治療をしていただきありがとうございました。祖母は先日、肺腺がんの診断・治療から5年が経過。経過が順調で南東北がん陽子線治療センターへの通院を終えました。 今年8月には米寿を迎えます。苦痛のない治療、時間の経過とともに破壊されていく腫瘍…。貴院の陽子線治療に出会って良かったと家族一同、痛切に感じております。 先生方はじめ看護師、診療放射線技師、スタッフの皆さん、祖母の治療やフォロー本当にありがとうございました。私のようなおじいちゃん、おばあちゃん子にとって祖父母は宝です。 貴院のますますの発展、ご活躍を祈念申し上げます。(東京都文京区、S・O、女性)

7月の医学健康講座

 総合南東北病院の7月医学健康講座は7月17日(金)午後2時から同病院北棟1階NABEホールで開かれます。
 同病院の伊藤康信副院長(脳神経外科)が「骨そしょう症と脊椎圧迫骨折~現状と最新の治療」と題して講演します。高齢者に多い骨そしょう症、脊椎圧迫骨折などの原因や治療法、 予防法などを分かりやすく解説します。入場は無料。送迎バスは郡山駅午後1時発、病院同3時25分発をご利用ください。

5月の手術件数

 5月の手術件数は608件でした。内訳は眼科213件、外科78件、形成外科54件、脳神経外科51件、整形外科43件、外傷センター42件、泌尿器科26件、耳鼻科21件、心臓血管外科19件、放射線治療科(陽子線)14件、 婦人科10件、呼吸器外科9件、周産期センター9件、歯科口腔外科7件、放射線科5件、麻酔科4件、小児心臓外科2件、消化器内科1件です。

5月の救急車台数

 5月の救急車台数は435台でした。時間外の受診患者さんは1511人でした。

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