広報誌 南東北

 

介護保険知って老後に備え

地域包括支援センターへ気軽に相談

老後の介護のために
 65歳以上の高齢者が9月で全人口の26.7%を占め、100歳以上が初めて6万人を突破しました。同時に寝たきりや認知症などで介護が必要な人も増えています。 9月18日(金)に総合南東北病院で開かれた医学健康講座で同病院医療相談課の熊谷幸広係長が「老後の介護を支えるために~介護を支える介護保険」、 富久山地域包括支援センターの星幸子介護支援専門員が「いきいき体操~心も体も健康に」と題し講演した内容を要約し介護の現状と将来を考えます。
 介護保険は、加齢による病気で寝たきりや認知症などになっていざ介護が必要になった際に自分らしく暮らせるように40歳以上の国民が保険料を払い、社会全体で支え合おうと平成12年に生まれた。
 少子高齢化の進行で高齢化が進み社会保障費は増える一方。1970年に2兆円超の医療費が2012年に17倍増の35兆円、年金は0.9兆円から53兆円と実に50倍に増えた。国民医療費は35兆円から2025年に52兆円、 老人医療費も11.4兆円から24.1兆円に増える見通しでこのままでは社会保障費は圧迫され、もたないのが現状だ。
 福島県も着実に高齢化が進み65~74歳は11%台であまり変化ないが、75歳以上は15年前の8.5%から3年前の14.4%に増え、15~64歳の生産年齢人口が減り続けている。 1人当たりの福島県民医療費も年々上昇、全国27位の27.6万円で全国平均より高い。後期高齢者医療費は全国の92万円弱より約10万円少ないがそれでも83万円弱だ。
 国の対策はズバリ医療費の抑制。病院の在院日数を見ると平成12年の24.9日から同23年には18.9日に短縮、病院に入院できないようにしている。ちなみに当院の平均在院日数は15.5~16日。
 国は医療費抑制策として「地域包括ケアシステム」を打ち出した。医療や介護、介護予防、生活支援、住まいのサービスを一体化し介護が必要になった高齢者が住み慣れた自宅や地域で暮らせるようにするシステムだ。 医療保険で治療を受け、後遺症の可能性がある人は退院する前からリハビリを開始してできるだけ介護を受けないように予防。例えば病院ではベッドで食事だが、リハビリ施設ではリハビリの1つとして食堂まで歩く訓練をする。 そして再び自宅で生活できるようにし、もし介護が必要でも在宅で介護が受けられるようにする。
 介護保険の加入は40歳以上。財源は保険料が50%で残りは税金で賄う。65歳以上の第1号被保険者は市町村の要介護認定を受けて各種サービスが受けられる。 40~64歳の第2号被保険者は制限があり、脳梗塞やクモ膜下など脳血管疾患、パーキンソン病、がん末期など難病の特定疾患認定者だけが受けられる。 しかも交通事故や転倒などの外傷、誤嚥性肺炎・術後安静による筋力低下などは該当しない。
 医療施設と介護施設では医師、看護師、介護福祉士などスタッフが違うし、役割も違うので目的に応じた施設選びが重要だ。サービス利用には行政の認定を受け、 在宅サービスを利用する時は要支援の場合は地域包括支援センター、要介護なら居宅介護支援事業所が担当。それぞれの担当が、その人に合ったケアプラン(介護サービス計画書)を作成するので遠慮なく気軽に相談してください。

介護予防に重要な〝筋トレ〟 まずは若さ保つ「いきいき体操」から
 日本の高齢化率は現在26%で平成35年には33%に上昇すると推計される。平均寿命は男が80.21歳、女が86.61歳で3年連続世界1位の長寿国だが、問題は介護を受けたり、 寝たきりでなく生活できる期間の健康寿命が男71.19歳、女が74.12歳。平均寿命との差が男9年、女が13年もあることだ。できるだけ健康寿命を延ばし介護の期間を短縮することが重要な目標になっている。
 その対策は運動への取り組み。死亡リスクは高血圧、喫煙、脂質異常症、運動不足、肥満の順だ。認知症対策でも運動不足の解消が効果的とか。医療費も運動をしている人としていない人で約10万円の差が出てくるという。
 〝歳を取ったら介護当たり前〟は違う。高齢者も運動によって筋量や筋力を維持・回復できる。運動によって認知力や筋力・持久力・バランスなどの向上はじめ心身機能の向上で介護予防への効果が期待できる。 体操を始めて体力がついた、階段の昇降が楽になった、気持ちが明るくなった―などの声も聞く。健康長寿の柱は身体活動、食事、社会参加。介護予防のために若々しい姿勢を保つ簡単な体操から始めてはいかがでしょう。


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