広報誌 SOUTHERN CROSS

 


「滝桜」で名高い福島県三春町に新しい健康のまち 「ケアタウン滝桜」誕生。

エルキューブ三春は、集合賃貸住宅とレストラン、フィットネスクラブなどをひとつのエリアに集めた複合型コミュニティです。郡山市八山田で運営する「エルキューブ」の2号店で、通所介護(デイサービス)、訪問看護ステーションなどの介護福祉機能に加え、保育園も併設しています。

  「ライフステージ」と名づけられた集合賃貸住宅は、次世代型メディカルセキュリティハウス。 管理人が24時間常駐し、医師・看護師・理学療法士・介護福祉士などが、「健康・回復・維持・増進」へ向けたサポートを行っています。 さらに、全室ベッドセンサーを配置することで、365日24時間の安心を提供。 年齢にとらわれず、老若男女、健康を求める誰もが利用でき、快活な人生を楽しめるステージです。5階にあるラウンジの大きな窓越しには、緑の樹木と青空が広がり、丘陵の向こうに郡山市街地が一望できます。

エルキューブ三春

〒963-7733 

福島県郡山市三春町大字山田字クルミヤツ15-2-1

☎0247-61-6601

 地内には「エルフィット」の充実したフィットネス環境が整えられており、お風呂もサウナも完備。静かでおしゃれなレストラン「エルマールガーデン」の魅力的な料理は、できるだけ地元の旬の野菜を使っているそうです。 隣接する三春南東北リハビリテーション・ケアセンターとともに、エルキューブ三春は、高齢者・障害者の自立と在宅復帰を支援するだけでなく、「ケアタウン滝桜」として地域の健康増進、交流のエリアとしての役割を果たしていくことになります。










■ クロスインタビュー ケアタウン滝桜 これからの福祉介護と地域の健康

新しく誕生した「ケアタウン滝桜」。それは、健康に生きることがテーマのコミュニティタウンです。 お忙しいなか責任者の皆様にお集まりいただき、「ケアタウン滝桜」が持つ意味と、未来への取り組みについてお話をお聞きしました。


これまでの老健施設に加えて民間事業である「エルキューブ三春」がオープンし「ケアタウン滝桜」が誕生しました。新しい取り組みだと思いますか?



一般財団法人 脳神経疾患研究所

介護老人保健施設

三春南東北リハビリテーションケアセンター

事務課課長

佐藤 勝彦 さん

 老健施設である「三春南東北リハビリテーション・ケアセンター」(以下「老健」と略)は、平成20年にオープンしました。
 三春町に老健はひとつしかないのですが、地域のニーズに沿ってリハビリ、自立支援、介護予防など幅広くサービスを提供したいと活動してきました。
 在宅重視の流れに沿って、私たちも利用者さんの在宅復帰を促すようにしたいけれど、介護サービスを受けられない地域の方は自宅復帰しても果たして身体機能を維持できるのか、と常に悩むところでした。
 在宅復帰したらすぐにショートステイを使えるようでないと生活できない、という方がいらっしゃるのも現実ですから、デイサービスや訪問介護はもちろんですが、介護保険が届かないところでも、民間の強みを活かして「エルキューブ三春」には地域の多様なニーズに応えていっていただきたいですね。
 フィットネスも、このあたりでははじめてです。  私たちも、「エルキューブ」と連携しながら、「ケアタウン滝桜」として、より多様なサービスを提供できる、地域に根ざしたコミュニティを目指していきたいと考えています。 (佐藤 勝彦 さん)






民間の強み、役割や、「エルキューブ」の魅力について教えてください。

L-CUB総支配人

L-Kids 保育園

小貫 陽子 さん

 地域の高齢化が進み、日本全体で医療費も介護保険も膨らんでいくなか、住民はどうしたら安心してこれからの生活を送れるか、ということが大きな問題になっています。
 私は長く看護師を務めており、医療難民、介護難民をつくってはいけないという思いがあります。老健と連携しながら、医療施設、介護施設に入れない皆さんが利用できたり、介護保険を使うほど重度ではない人たちのフォローを民間の立場から担っていけるなら、とても可能性のある有意義なことではないかと思っています。
 「エルキューブ」は複合的なコミュニティで、食材にこだわった本格的なレストラン、居住スペース、フィットネス、デイサービス、介護支援、ヘルパー、訪問看護と、それぞれが魅力的で多彩なサービスを提供しています。
 地域の女性も安心して働くことができるよう保育園も併設しています。
 同じエリアに老健があることで、保育園の子どもたちも手を振りながらお互いに元気を交換し合う、そういう望ましい関係になれると感じています。
 また、家で介護をされている方は精神的に逃げ場がないところもありますから、介護で疲弊してしまわないようにお手伝いしたり、ここで家族のショートステイを利用して、自分はフィットネスで、肩凝りの解消や疲労回復、健康管理や気分転換に役立てていただくことも可能です。
デイサービスではフェイシャルマッサージも取り入れています。いくつになっても、女性にとって、こうしたエステは嬉しいですよね。鍼灸も利用いただけるんです。目の疲れや肩こりがとれると好評です。(小貫 陽子 さん)



「エルキューブ三春」として、老健施設とどのような連携をお考えですか?

 エルキューブは「健院」というコンセプトのもと、郡山市の八山田で運営してきました。三春町には3月1日、新しい複合型コミュニティスペースとして開設しました。


L-CUB営業部副部長

主任介護支援専門員

佐藤 和美 さん

 医療や介護が在宅重視へと変わっていくなかで、住み慣れた地域でいきいきと暮らすことができるよう、医療と日常生活の隙間を埋め、健康な生き方をサポートしたいというコンセプトです。
 ですから、介護やリハビリ、障害をお持ちの方の公的な保険だけではまかないきれないところをどうしたらいいか、という視点から、老健とは相互補完の関係となるように運営を工夫しています。
 たとえば、通所リハ利用者の方のなかには、「決まった日だと来れない」と言う方もいらっしゃるとうかがいます。
そうした方に自由な時間にフィットネスでリハビリをしていただいたり、介護予防でも、介護保険だけだと週1回という利用制限がありますが、もっとやりたいという方にはこちらのフィットネスを利用していただけると、予防にも有益な連携になるかと思います。
 言葉だけではなく、自信を持って、本当の在宅復帰ができるように、というのが私たちの願いです。
 老健と同じエリアにあることのメリット、可能性は大きいと思います。  8月30日には夏祭りを共催します。ほかにも公開講座などで健康について学んだり、利用者さんや住民の方がくつろいで集える、サロンのような〝場〟づくりもしていきたいと考えています。(佐藤 和美 さん)



地域包括ケアシステムが話題ですが、福祉や介護の世界は変わっていくのでしょうか?

 老健施設は、病院から自宅へ帰るまでにワンクッション置く施設というイメージがありました。今は老健から自宅に戻った後のフォローもするような通所リハビリ、短期入所、訪問リハビリと、在宅でいかに皆さんが過ごしやすく安全に安心して有意義に過ごせるかということを目的にサービスを提供するようになってきています。老健の役割が変わってきていますね。


一般財団法人 脳神経疾患研究所

介護老人保健施設

三春南東北リハビリケーションケアセンター

リハビリ科副主任

理学療法士

山本 栄辰 さん

 制度的には今年の8月に、利用者さんの負担も多少変わる状況です。料金が2割負担になる方が今後出てくるので、混乱も予想されますが、大きな流れとしては、介護だけではなくて、医療制度とともに変わっていくわけです。
 今後は地域包括ケアシステムということで、自宅でなるべく生活しましょうということになっていくわけなのに、介護保険の負担が上がったりして、政策と実体が矛盾しているような印象もありますね。
 現場ではどうか、と言うと、行政も包括支援システムへ向けて、地域包括ケア会議というのを活発に開くようになってきています。福島県ではモデル事業というのが7カ所くらいあって、地域にサロンのようなものをつくって活動しようということが広がってきています。
 私が所属している理学療法士協会でも、人材育成に向けた研修会をあちこちで始めているところで、来年度以降には活動が活発化して、地域医療、地域包括ケアシステムの姿がもっと明確になってくると思います。
 地域包括ケアシステムと言うと、高齢者が対象と思われがちですが、自治体として目指しているのは、お年寄りから若い人まですべての人が集まるというイメージです。障害の人たちも含めて、地域全体で関わっていきましょう、ということです。
 ただ、自治体によっては、リハビリや介護サービスを受けたくても、〝サービスそのものがない〟という相談の声も聞かれますから、これからはエリアによる格差も出てくるのではないでしょうか。
 課題も大きいですが、民間事業であるエルキューブ三春が当老健の隣にオープンしたことは、意義深いと思います。
 行政だけが、保健所だけがということではなく、多様なサービス提供が民間で可能なら、利用する側の選択の幅が広がります。また民間であれば、行政の垣根を超えてより広いエリアも対象としながら、大切な役割を担うようになれるのではないかと思います。
(山本 栄辰 さん)


「ケアタウン滝桜」は、いろいろな魅力あるエリアですが、これからどのように地域と関わっていくのでしょう?

L-CUB介護支援センター三春

管理者

介護支援専門員

小柴 英明 さん

 これまでは郡山市八山田のエルキューブで、主に介護支援専門員の仕事をしてきました。
 「ケアタウン滝桜」としては、急性期の治療を終えてリハビリし、病院を退院した患者さんのうち、継続してリハビリが必要な方は、老健のデイケアなどでリハビリをして、それ以外の生活支援の部分で「エルキューブ」のデイサービスを利用してもらう、というのが、大まかな役割分担、連携の形になるかと思います。
 もちろん、それだけでなく多様なケースがあり得るわけで、外傷性の障害などでリハビリをしたいと思っている方の中には、年齢的に若くて介護保険の対象にならず、障害の認定も下りない、だけど退院しなければならない、という方もいらっしゃるわけです。そうした方たちは行き場がない状況になってしまいますから、私たちが受け入れて、リハビリもできるような取り組みをしているわけです。
 これからの大きな課題である地域包括支援システムについては、どこも手探りの状況かと思います。
 昨年は郡山市の地域包括ケア会議にも参加しましたが、介護や福祉だけでなく警察や民生委員の方、いろいろな方が参加していて、地域の実情に沿った話ができたと思います。
  郡山市では認知症集中ケアチームもつくられて、認知症の初期段階から関わって問題解決しようという取り組みもあり、有意義なものと感じています。
  やはり、地域の皆さんに楽しみながら健康づくりに取り組んでいただくのが大事ですから、今夏より、早朝にフィットネスを無料開放しようという企画も練っています。
  老健もマシントレーニングを無料開放して住民の方に体験していただく時間を設けているそうですが、そうした取り組みから〝交流の場〟づくりを進め、ケアタウン滝桜がある岩江地区はじめ三春町や周辺自治体に住む皆さんの健康のために、老健といっしょになってお役に立てればと願っています。
(小柴 英明 さん)