広報誌 SOUTHERN CROSS

 



地域に貢献できる病院を目指し

「総合東京病院」は進化し続けます。


医療の社会的使命を果たすべく

病院スタッフ一丸となって全力を尽くします。  


ご挨拶

 総合東京病院は2016年4月で開設6周年を迎えることが出来ました。

 『すべては患者さんのために』の院是のもと、急性期の診療とリハビリテーション機能の拡充を図り、救急医療にも注力してまいりました。


 2014年9月には地下1階地上8階建てのA棟を新設するとともに250床から312床に増床し、中野区で初めてPET-CTを導入するなど高度医療を提供できる体制も徐々に整えてきております。


 また、2015年3月には隣地6,000m²を取得し、現在新棟建築中です。同地ではさらなる増床も行い、脳卒中センター、循環器センター、リハビリテーションセンターを充実させ、 小児初期救急事業と病児病後児保育事業も展開する予定です。


 今後は、当院に隣接の同じ南東北グループの施設である“東京総合保健福祉センター江古田の森”とより一層連携を深め、「 小児→急性期→回復期→施設介護→在宅介護 」を一気通貫して対応できる地域の中核的医療機関としての役割を果たしていく所存です。



総合東京病院の誕生から新・新棟(B棟)建設による病院環境の充実へ


日本人の三大疾病の克服と急性期医療を担い


地域から信頼される総合病院を目指して


救急患者は断らない、という南東北グループの基本理念のもと、総合東京病院は、東京都中野区、練馬区と、

その周辺地域の救急・急性期医療を支えてきました。地域住民のニーズに応えるべく、老朽化した病棟などの

医療環境を改善、各診療科の整備に取り組み、「がん」「脳卒中」「心疾患」の克服に向けた専門医療、

高度医療の一層の充実にも力を注いでいます。その現状と未来について、渡邉貞義院長にお話をうかがいました。


「すべては患者さんのために」—地域のニーズに応える


|慈生会病院から「総合東京病院」へ

 2010年4月より「慈生会病院」から「東京病院」へと変わり、もう6年が経ちました。

 旧慈生会病院はとても歴史のある病院でしたが、医療を取り巻く厳しい状況から、南東北グループが経営を引き継ぎ、現在の総合東京病院に至っています。

 病院も存続するのが難しい時代です。仮に通院していた病院が突然なくなったら、地域医療は大変な混乱にさらされます。 医療の社会的責任は大きいものがありますから、地域の皆さんがいつまでも安心して通えるよう、治療も接遇も、そして病院経営も、良好なものであろうと努めてきました。

 私が病院長に就任したのは2012年です。就任当初からハード面では老朽化した病棟や利用しにくい医療施設・設備の配置、ソフト面でも人員体制など、取り組むべき課題は山積していました。 「このままではだめだ。何とかしなければいけない」といつも考えていました。

 まずは、「救急患者は断らない」という当グループの方針を救急医療の現場で実現させたいと考えました。地域医療の使命としては、救急の患者さんも含めて365日、 24時間受け入れできる体制を整えることが南東北グループの院是でもあります。

 お陰様で、救急車の搬送数は飛躍的に増え、2010年4月には10台だった月間救急車台数が2016年7月には300台となりました。一人でも多くの命を救いたいと、 病院スタッフ一同が同じ思いで頑張っています。

 当院がある地域は非常に人口が密集し、特にたくさんのご高齢の方がお住いです。 

 年々一人暮らしのお年寄りが増えていますから、生活に不便のないよう、多くの疾患にできる限り対応することが、地域から求められるニーズです。 当院では、体に負担の少ない検査や治療を提供し、また、救急や夜間、休日の診療を通して、そうした高齢者の医療にも貢献できているのではないかと思います。

 現在では、急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟を合わせ持つ地域密着型の特色ある総合病院として、地域の皆さんにも認知されるようになってきました。



|新棟(A棟)の完成

 旧慈生会病院は、歴史があるだけに建物の老朽化が目立ち、救急の動線もスムーズではありませんでした。そこで、動線を機能的なものにし、 集中治療と手術室を充実させるべく新棟(A棟)を建設しました。2014年9月のことです。

 地下1階地上8階建ての新棟開設後は、手術室が9室、ICU(集中治療室)・CCU(冠疾患集中治療室)・HCU(準集中治療室)をワンフロアに集中させて、 救急・急性期医療と入院施設の拡充を行い、理想的な病院環境整備ができたと思います。

 これによって、手術室も5室から10室へ増設しました。

 そのうち2室はハイブリッド手術室です。中野区で初となるPET—CTも導入しました。

 一般急性期の病棟も老朽化が激しく、導線も悪くて、患者さんの病室、スタッフステーションなどもかなり不便なところにありましたが、 新棟開設に伴って、これらも移動し、患者さんやご家族の方が安心できる、利用しやすい入院環境を整えています。

 それまで250床だった病床も312床に増床し、より多くの患者さんを受け入れられるようになっています。


|新・新棟(B棟)の建設

 これからは、「がん」「心疾患」「脳卒中(脳血管疾患)」という日本人の3大疾病に対して、当院も全力で取り組んでいきます。

 現在、来年5月オープン予定のB棟の建設工事を進めています。現病院の東側隣地が予定地です。昨年3月に土地を取得しました。

 これは、東京都中野区の「江古田の森公園」周辺の市街地再開発事業の一翼を担うもので、「保育所等を兼ね備えたマンション群の計画」として、 小児初期救急事業と病児病後児保育事業を担う医療機関として位置づけられています。

 当院新棟の建設も進んでいますが、隣の敷地でも高層マンションの建設が進んでいます。このあたりは、緑あふれる公園を中心に再開発されて、魅力的な一画になるでしょう。 開発コンセプトは「子育て支援のまちづくり」とうかがっています。

 B棟ではさらなる増床も行い、脳卒中センター、循環器センターを本格稼働させます。循環器センターは、CCUネットワークへの参加も視野に入れています。

 フロアの概要としては、地下に放射線治療装置(リニアック)を導入し、1階に小児初期救急、救急外来、SCU(脳卒中集中治療室)を兼ね備えた脳卒中センターを配備します。

 そして2階には手術室、心臓専用手術アンギオ室、ハイブリッド手術室1室を整備し、高度なカテーテル治療を可能とする循環器センターを立ち上げます。 

 3~5階には、回復期リハビリ病棟をオープンさせ、隣接施設「東京総合保健福祉センター江古田の森」との連携を一層深めてリハビリテーション機能を充実させていく予定です。

 今後は、小児医療から急性期、回復期、施設介護、在宅介護を一気通貫して対応できる、地域の中核的総合病院としての役割を果たしていく考えです。

 「すべては患者さんのために」。地域のニーズに応えるべく、高度医療を提供できる急性期病院として、また、がん、心疾患、脳血管疾患に対する高度先端医療が可能な総合病院として、 先端医療機器と技術の導入、研鑽に努めていきます。



小児から高齢者、障害者まで連続した医療・介護・福祉サービスを提供していきます。


脳血管治療、心臓血管カテーテル治療―高度先端医療の実践


|寝たきりになる疾患第一位の脳卒中克服に向けて

 脳卒中は日本人の三大疾病のひとつで、かつては長く死因第一位を占め、現在でも年間12万人以上が命を落としています(2010年統計)。

 現在、日本人の死因第1位はがんです。脳卒中は心疾患、肺炎に続いて第4位となりましたが、寝たきりになる病気の順位で見ると、脳卒中がトップなのです。

 寝たきりにならず、高齢になっても毎日の暮らしを自分らしく生きるためには、脳卒中の克服が未だ重要な課題なのです。 しかも、脳卒中の原因の75%が脳梗塞(2009年)ですから、私たちはそこを何とかしたいと考えています。

 当院では、これまでも急性期医療の充実、そして、三大疾病の克服に努めてきましたが、B棟の新設によって、脳卒中、心疾患への対応を一層強化します。

 一般に脳卒中は、脳梗塞と脳出血の二つのタイプに分けられる脳血管障害です。

 血管が詰まるのが脳梗塞で、血管が破れるのが脳出血とクモ膜下出血です。


 脳梗塞で血流の再開が遅れると脳は障害を受け、命にも関わります。脳梗塞になると、今では半分くらいの方は社会復帰できるようになりましたが、 1割が死亡し残りの4割も何らかの後遺症を残します。  

 血栓溶解剤t-PAという画期的な薬も登場しましたが、発症後4・5時間以内に使用しないと効果がない、などの限界もあり、現在は脳血管内治療が注目されています。

 脳血管内治療は、カテーテルという細い管の先にデバイス(器具)を取り付けて治療し、血流を再開させます。発症8時間以内の治療が可能です。

 t-PAで治らない場合でも、患者さんを救える次の一手がある、ということです。


|約9割の血栓が取れる_最新の脳血管内治療

 血管内治療は、太ももからカテーテルを入れ、脳血管内の血栓を取って除去し、血行を再建します。

 先端に付けるデバイスの進歩は目覚ましく、血栓を吸引して除去できるものが開発され、現在は狭心症の治療で使われるようなステント型のものも登場しています。

 トンネル状の金属の網状のステントは、血管部で広げて血流を再開させ、その後閉じて回収する際に詰まった血栓も同時に除去、回収します。

 現在のステント型のものは8~9割の確率で血栓除去ができます。 総合東京病院では、9割前後の血栓が取れ、血流の再開が可能な状況です。

 当院では、脳血管障害に関しては、手術も、脳血管内治療も、どちらの治療も受けることができます。最終的には安全で確実な方法を判断し決定しています。

 また、t-PAを静脈注射する際にも、あらかじめカテーテルと脳血管撮影装置を用意しておき、時間をおかずに血管内治療ができる体制を整えています。


 あとは、いかに早く受診するか、そしてこれらの治療を受けられる病院に行けるかどうかが、脳卒中では大きなカギになります。どこでも受けられる治療ではありません。





|全身性の病気として血管の病気を診る

 私たちは、予防医学として脳ドックにも力を入れています。

 脳血管の場合、一番注意したいのは高血圧です。数値的には、収縮期血圧(上)140以上/拡張期血圧(下)90以上は危険です。

 血管の病気は全身性の病気です。脳梗塞や心筋梗塞などは、同じ血管の病気とも考えられ、動脈硬化が基盤となって血栓ができ、 血管が詰まるという発症の経過に共通したものがありますから、統一して「アテローム血栓症」と呼ぶことも提唱されています。

 ですから、頭から足まで、私たちは、全身の血管を診ていきたいと考えています。

 当院では、昨年から循環器センターに非常に優秀なエキスパートドクターを迎え、高度な心臓血管カテーテル治療を行っています。


 来年5月の新・新棟(B棟)開設以降は、こうした急性期医療、高度先端医療の充実を通して、さらに地域に貢献できるよう、最高の医療サービスの提供を目指していきます。






救急、急性期医療、高度先端医療の充実によって


さらに地域に貢献できる病院へと、総合東京病院は進化し続けます。




特色ある診療内容

 —総合東京病院の診療科・専門外来から


総合東京病院では、脳・心臓疾患をはじめとする急性期、ならびに全身の慢性疾患など、地域のニーズに対応しうる診療科の充実とともに、

急性期医療と連携する整形・形成外科やリハビリテーションに力を注ぎ、患者さんの体に優しく、QOL(生活の質)の改善に寄与する診療に努めています。



脳神経外科—脳血管内治療・脳腫瘍・脊椎脊髄センター


 脳神経外科は、脳卒中と呼ばれる脳梗塞、くも膜下出血や、未破裂脳動脈瘤などの脳血管障害とともに、脳腫瘍、顔面けいれん、三叉神経痛、加えて脊髄疾患などを対象としています。

 設備人員ともに高度な脳神経外科医療を行う環境を整備し、患者さんのさまざまな状況に合わせた安全で細やかな治療の実現を目指しています。

 特に救急医療においては、東京都中野区をはじめ、周辺の練馬区、杉並区、新宿区、板橋区から、脳卒中、頭部外傷などの患者さんの救急搬送を受け入れ、地域の急性期医療を支えています。

 (日本脳神経外科学会指定研修施設)



脳血管内治療センター

 脳血管内治療センターでは、外科的な開頭術を必要とせず、高齢者やいろいろな合併症を持つ方にも可能な体への負担が少ないカテーテルを用いた血管内治療を行っています。

 頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術をはじめ、超急性期脳梗塞に対する薬剤を用いたt‑PA治療や、 脳血栓回収機器を用いた再開通療法(経皮的脳血栓回収療法)など、脳血管障害を中心に幅広く治療を行っています。



福島孝徳 脳腫瘍センター

 総合東京病院では、世界的な脳神経外科医である、福島孝徳先生(アメリカ、デューク大学)の治療が受けられます。

 同病院では、以前から福島先生による脳外科手術が行われてきましたが、手術数の増加に伴って、新たに「福島孝徳 脳腫瘍センター」が開設されました。

 同センターでは、一般的には手術困難とされる頭蓋底(脳の底にある眼、鼻、のど、耳、首につながる部分で、骨、神経、血管などが複雑に絡み合う)の病変や、 下垂体、脳幹部、脳室内などの病変、巨大脳腫瘍、巨大脳動脈瘤、複雑な脳血管バイパスなどの手術を行います。



脊椎脊髄センター

 脳神経外科内に脊椎脊髄センターを開設し、脊椎脊髄外科専門医による顕微鏡を用いた低侵襲の手術を行っています。

 脳神経外科手術と同じように顕微鏡下の精密な手術を行うことで、高齢者でも安心して脊椎脊髄手術を受けることができます。

 手足のしびれ、痛み、脱力、腰痛、歩行困難などの患者さんに対する保存的治療に重点を置き、それでも回復が見込めない症状や、 腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰推変性すべり症などの疾患には積極的に外科手術も行います。

 また、首の手術では、「前方除圧固定術」という手術法を用いることで、翌日には歩行、1週間ほどで退院が可能となり、非常に早い回復が見込めます。

 この手術の在院日数は東京都内で最短です。




放射線科—「PET—CTがんドック」ほか


 各種の健診をはじめ、充実した脳ドックや人間ドックなどが受けられる環境を整備し、予防医学にも力を入れています。

 A棟オープンにあたっては、中野区で初となるPET—CTを導入、小さながんの早期発見に寄与するがんドックの提供も開始しました。

 PET(ペット)検査では、特殊な検査薬を静脈から注射し、検査薬を摂取した細胞(がん細胞)から放射されるガンマ線を画像に投影します。

 1回で全身の検査ができるため、体に負担が少ないのが特長です。

 予想外の発見や転移の有無、がんの広がり(病期)の診断や、治療効果の判定などにも利用されます。



循環器センター


 循環器部門では、心筋梗塞や狭心症のカテーテル治療の第一人者である村松俊哉医師、塚原玲子医師が着任、全国に約1000名しかいない 心臓カテーテル専門医による高度なカテーテル治療を実践しています。

 循環器センターでは、高血圧、急性や慢性心不全、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、不整脈、心筋症、心臓弁膜症等の主要な心臓疾患に対して幅広く診療を行っています。

 来年5月の新・新棟(B棟)オープンにあたっては、「心臓血管センター」を開設し、冠動脈インターベンション治療など、循環器領域の高度な医療を提供していく計画です。




形成外科・美容外科


 昭和大学形成外科主任教授として長年形成外科・美容外科診療にたずさわり、口唇口蓋裂や耳の先天異常の分野における 第一人者である保阪善昭名誉教授を招き、形成外科を開設しています。

 形成外科には大きく分けて「再建外科」「美容外科」という二つの分野があり、総合東京病院では両分野にわたる診療を行っています。

 地域の皆様に密接し、高度な治療を提供しています。


【対象とする主な病気】

 ●新鮮熱傷 (やけど)

 ●顔面骨骨折・顔面外傷(顔のキズ、けが)

 ●口唇裂・口蓋裂 (唇の先天異常)

 ●その他の先天異常

 ●母斑・血管腫・良性腫瘍 (ほくろ、あざなど)

 ●悪性腫瘍および再建(皮膚がん)

 ●瘢痕・瘢痕拘縮、ケロイド

 ●褥瘡・難治性潰瘍(床ずれ、治りにくいキズ、など)

 ●美容外科(ふたえ、隆鼻、フェイスリフト、豊胸など)

 ●美容皮膚科(しみとり、しわとり、光治療など)

 ●その他(眼瞼下垂、わきが、陥入爪、包茎など)



リハビリテーション科


 リハビリテーション科は、疾病や外傷によって生ずるあらゆる障害に対して、患者の能力を最大限引き出し、 QOL(生活の質)の改善や社会復帰を目標に診療を行っています。

 主に脳血管疾患(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、脊髄疾患等)や骨関節疾患(上腕骨骨折、膝関節人工置換術、大腿骨頸部骨折、脊椎疾患等) などの障害を生ずる病気などを対象とします。

 同院では、来年5月の新・新棟(B棟)のオープン後も、リハビリテーション機能の充実に一層力をつくす計画です。

【TMS治療】

 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座主任教授である安保雅博医師による、脳卒中後遺症を対象としたTMS(経頭蓋磁気刺激)治療も 実施しています。

 TMSは、大脳へのほぼ無痛性の局所的磁気刺激によって脳の活動性が変化する効果を、脳卒中後のリハビリに応用します。「脳の持つ機能代償能力 (障害を補う力)を最大限に発揮させる」事を目的としたものです。

 また、脳卒中後遺症による麻痺への治療として、ボツリヌス療法も実施しています。



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