気づかないうちに進行する「歯周病」   
『食中毒予防のツボ』
 
最近では、歯周病により、40代で歯を失って義歯を入れる人も珍しくありません。歯周病にならないために、また、これ以上ひどくしないために、歯周病の検査方法、治療法や予防について解説します。

 歯周病のなりやすさには、生活習慣も関係します。
 もっとも危険とされているのが喫煙と糖尿病です。
 また、歯周病は心臓病など全身性の病気を悪化させる恐れも指摘されているのです。

 
◆若いからと油断は禁物 歯周病は20代から急増
 歯周病がおじさんの病気だと考えるのは、間違いです。
 歯周病は、歯と歯肉の境目にあるすき間、歯周ポケットが4mm以上に達した場合をいいます。下記の表によると、歯周ポケットが4mm以上、6mm未満の人は、25〜34歳で約20%もいます。35〜44歳では約26%、45〜54歳で約33%と、年齢が上がるにつれ、右肩上がりになっています。
 歯の喪失は主に歯周病が原因です。『1人平均喪失歯数の年次堆移』によると、50代では4本、60代では8本の歯を喪失しています。
 厚生労働省は、80歳で歯を20本残すことを目標にした「8020(ハチマルニイマル)運動」を行っていますが、このままでは「20本」残すのは相当難しいといわれています。
 
◆喫煙は歯肉の抵抗力を低下させる
 歯周病は生活習慣が深く関係した病気です。現在、歯周病との因果関係がはっきりわかっているのは、喫煙と糖尿病です。
 タバコを吸うと、歯肉の血行が悪くなります。その結果、歯肉の細菌に対する抵抗力が低下して、歯周病菌に冒されやすくなるのです。
 一方、糖尿病は、血糖値の高い状態が続くために、全身の血管がもろくなり、抵抗力が落ちる病気です。歯肉の血管も例外ではなく、糖尿病をもっている人は歯周病菌に冒されやすく、また重症化しやすいことが知られています。逆に、歯周病を治すことで、糖尿病の悪化が抑えられることもわかってきました。
 最近は、歯周病だと将来、心臓病にかかるリスクが高くなるという研究報告も出てきています。歯周病は歯だけの問題ではなく、全身病なのです。
 不規則な生活や不摂生、過度なストレス、歯をぎゅっとかみしめるクセなども歯周病の発症や悪化に関係するといわれています。

◆女性ホルモンの影響で増える歯周病菌もある
 もうひとつ、とくに女性に知っておいてほしいのが、歯周病と女性ホルモンの関係です。
 歯周病菌の中でもプレボテラ・インターメディアやプレボテラ・ネグレッセンスと呼ばれるものは、じつは女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが増えると、増加する傾向があるのです。
 女性ホルモンの働きが活発になる妊娠中に起こる「妊娠性エリープス」と呼ばれる歯肉炎は、この歯周病菌によるもの。歯肉がぶよぶよに腫れ、歯ブラシがちょっと当たっただけでも出血することから、すぐおかしいと気づくはずです。
 もともとは、歯磨きを怠ったために歯の表面にプラークがつき、それが元で起こってきた歯肉炎ですが、悪化因子として、女性ホルモンが関係してくるのです。
 妊娠中に歯周病にかかると、早産になったり、低体重児が生まれるリスクが高まることもわかっています。
 妊娠中は歯の治療を受けないほうがいいというのは俗説に過ぎません。歯肉の腫れなどに気づいた場合は、安定期に歯科医院で治療を受けましょう。

 
 
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