食生活の知識


食と健康をめぐる情報の読み方

 
●メディアは正しい情報を流しているか
 テレビを始めとしたメディアから、さまざまな健康に関連する情報が提供されています。それぞれもっともらしく聞こえますが、そのまま信じる前に、ちょっと考えてみてください。以前、テレビのバラエティ番組で血液型と性格との関連が話題になりましたが、これには何の科学的根拠もありませんでした。メディアから提供される情報が、必ずしも科学的に正確であるとは限りません。これらの情報の限界と特徴を意識し、客観的に判断する必要があります。
 
●メディアは側面的な情報を提供する
 メディアは重要性より話題性を優先させるので、一般の人の興味を引くために食品の持つ体によい面だけを取り上げ、悪い面を取り上げない傾向があるようです。体によい食品であっても、そればかり食べたり、必要以上に食べたりすればかえって悪い場合もあります。ところが、メディアはそこまで注意を促すことはしません。しかも、メディアが伝える食の情報は、基礎的な研究の結果からヒトに対する効果を推測しているだけで、実際にヒトを対象とした実験では未確認の場合が多く、たとえヒトに対する実験が紹介されていても、対象人数が少なかったりするため、信頼性に問題があります。
 例えば基礎研究によりタマネギを食べることで血液がサラサラになるからといって、脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)などを予防できるかどうかは、ヒトを対象に長期にわたる実験をしてみなければ分かりまん。
 
●栄養の基本を押さえる
 栄養の最も重要な部分、栄養バランスということをメディアはあまり伝えていないようです。栄養バランスが乱れていては、いくら健康によいといわれる食品を食べても健康になれるはずがありません。人間が生きていくうえで必要な栄養素には、炭水化物、たんばく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維の六つがあります。そのどれが欠けても、また極端に多くなっても健康にはなれません。これら六つの栄養素を過不足なく取ることが重要なのです。
 
●いろいろな食品を適量取ることが重要
 メディアではいろいろな食品を取り上げ、それぞれがいかに健康によいかを説明します。実はどのような食品にも、よい面と悪い面があるものなのです。
 最近の研究によりいろいろな食品の働きが分かってきましたが、メディアが取り上げる情報はそれらのほんの一部です。しかも、確定的な情報は少なく、将来にわたってそれが正しいとは限りません。
 かつてリノール酸がもてはやされたことがありましたが、今はリノール酸の取り過ぎはよくないといわれています。現在、たくさん食べたほうがよいといわれている食品であっても、将来その説が覆ることもあるのです。
 メディアからの情報を過信することなく、食品にはそれぞれよい面と悪い面があることを理解し、いろいろな食品を適量だけ取るように心がけることが最も大切なことです。
 
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住生活の知識

 
安全安心な住まい


 
●子どもと高齢者に多い家庭内事故
 日常生活ではさまざまな危険に遭遇する可能性がありますが、意外に多いのが家庭内における事故です。2003年の人口動態統計によると、家庭内における不慮の事故で年間1万1290人が死亡しており、交通事故による死者数を上回っています。中でも、65歳以上の高齢者が8654人、全体の76・7%を占めています。
 その原因は窒息のほかに、溺水(できすい)や転倒・転落の割合が高く、住まいが安全であれば防げたかもしれないものが少なくありません。一方、家庭内で単に事故にあった人をみると、4歳未満の子どもの割合が突出して多い傾向がみられます。
 小さな子どもは特に階段や浴室で事故にあいやすいという特徴があります。
 
●住まいをバリアフリーにする
 年齢にかかわらず、住まいを安全で安心なものにするには、けがや病気を誘発する建築的な不具合を取り除くこと、いわゆるバリアフリーにする必要があります。
 そのためには、まず足先が引っかかるような小さな段差をなくします。玄関や階段等の段差のあるところでは色などを変えて見分けがつきやすくします。
 二つ目には、階段、廊下には安全に移動できるような手すり、トイレや浴室には姿勢や動作を助けるための手すりを付けます。また、階段、バルコニーには転落防止のための手すりを付けます。転落防止と移動補助では、必要な手すりの高さが違うので注意が必要です。
 三つ目には、部屋、トイレ、浴室、玄関の広さにゆとりを持たせます。廊下や戸・扉等の出入り口の幅が広いと安全に通行できます。
 さらに、目に見えない温熱環境や通風、採光、音環境などについて配慮することも重要です。詳しくは、高齢者が居住する住宅の設計に係る指針を参照するとよいでしょう。
 
●シックハウス対策
 もう一つ重要なのは空気の質を良好に保つことです。法律的にいうと24時間換気等です。
 最近、建材や内装仕上げに使う接着剤や塗料から発する有害な化学物質のために健康を損ねるシックハウス症侯群が明らかになってきました。家にいることが多い乳幼児や高齢者にとっては大問題です。
 そこで、2003年に建築基準法が改正され、有害物質の発生を防ぐため、内装に使える建材の制限や換気設備の設置が義務づけられるようになりました。化学物質は建材だけでなく家具等からも発生するので注意が必要です。
 
●外部環境や公共的な建築物も安全で快適に
 人は一日中家にいるわけではありません。外部環境や外出先の建物も安全で快適でなければなりません。
 現在、交通バリアフリー法や改正ハートビル法により、駅舎や公共的な建築物のバリアフリー化や、より多くの人がより多くの機会に安全に快適に利用できようユニバーサルデザインにする取り組みが広く行われています。
 
 
国民生活センター 『くらしの豆知識2006年』 より

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