健康の知識


炎症を起こした植毛サービス

 
◆植毛サービスとは
 ストレスのせいか、薄毛に悩む人が増えているようです。かつらや、頭皮のマッサージなどをする「育毛サービス」が宣伝されていますが、頭皮に直接「毛」を植え付ける方法もあります。これが「植毛」で、麻酔をして頭皮に人工毛や自毛を植え付けるので医療行為に当たります。施術後の頭皮の皮膚障害、植毛の効果、高額な植毛料金などをめぐるトラブルが寄せられています。

【事例1】
 植毛の相談サロンへ行き、人工毛の開発・販売をしている業者と、人工毛の購入契約をした。植毛定着率は7割〜8割、麻酔をして医師が行うので心配ないと言われた。ところが植毛はどんどん抜け落ち、かゆみがひどく、赤くなった地肌がむき出しになり、以前より見苦しくなった。追加の植毛を繰り返したが人工毛は定着せず、クレジットの支払のみが残った。

【事例2】
 人工毛を大量に購入し、植毛サービスを受けることにした。ところが施術後、頭皮が化膿し、痛くてたまらなくなった。別の医師から植毛はやめるように診断されたので、未使用の人工毛を解約したいと申し出たところ、解約できない、植毛用の高額なシャンプーとの交換なら可能といわれたが、不要である。

◆安易に考えてはいけない医療サービス
 医療サービスは、直接身体に影響を及ぼすので、消費者(患者)は説明を十分に受け、自由診療の場合は費用も考慮した上で、慎重に検討することが求められます。しかし、事例のケースでは、契約段階では医師の説明はなく、あくまでも人工毛の購入契約で、消費者は医療サービスの契約をした認識がありませんでした。そのため、施術不良の不満をどこへ訴えたらよいか分かりませんでした。
 毛髪関連サービスには、中途解約などを定めた法規制がなく、医療事故は民事上の争いとなるため解決が困難になる場合もあります。
 契約時の説明に、不実告知、不利益事実の不告知があれば取消を、また、一方的に解約を認めないという規約は、不当条項として、無効を主張することが可能です。

 
◆過大な期待は禁物
 ファッション性を求め、アンチエイジング(若返り)を志向して、より自然な薄毛対策を目指した商品やサービスが開発されています。医療分野でも、さまざまな新技術が生まれています。しかし、身体に負荷を与え、高額な料金を費やしたことに見合うだけの効果があるのか、疑問の残るところです。個人差があり、誰もが期待どおりになる保障はありません。
 医師から、デメリット情報を含め施術内容や効果の説明を納得行くまで受けましょう。また、施術前後の注意を守り、指示どおりのケアをしましょう。「簡単な施術」と広告でうたっていても、術後の頭皮の回復が悪いこともあるので、医師がすぐに対応できるシステムであるかの確認も必要です。
 サービスの結果が思わしくない場合は、キッパリとやめる決断も大切です。精神的にも被害を受け、ますますストレスになってしまいます。
 
 
国民生活センター 『くらしの豆知識2006年』 より
 
 
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