くらしの豆知識
食中毒や感染症を予防するために 


食中毒と感染症の違い
 食中毒と感染症の決定的な違いは、伝播様式の違いです。
 食中毒は飲食物から、感染症は人や動物から伝わります。食中毒の原因には3つの要因があります。微生物(細菌、ウイルス、原虫など)、自然毒(キノコ毒、カビ毒、フグ毒、貝毒など)、そして化学物質です。
 '04年度の微生物による食中毒は、事件数が1429件(全体のおよそ85.8%)、患者数が2万5615人(同90.9%)と毎年、最も多く発生しています。'05年に集団感染で問題になったノロウイルスは、1つの食中毒事件で発生する患者数が多いのが特徴です。同じノロウイルスが原因でも飲食物によって発生するときは食中毒、人から伝染するときは感染症と区別されています。

食中毒の起こり方
 食中毒は急性の下痢や腹痛、発熱などの症状が表れます。微生物の種類や個人差により症状はさまざまです。また季節によって特徴は異なります。食中毒菌が1〜2個、私たちの体内に入っただけでは食中毒は起こりません。胃酸や免疫などで防御するからです。しかし、水分・栄養・温度という条件が揃うと食中毒の急激な増殖が始まり、ある一定の量以上で食中毒が発生します。ほとんどの食中毒菌は室内の温度(20℃程度)でよく増殖するので、特に夏場に注意が必要です。
 しかし、食中毒の発生原因は、食中毒菌によるものだけではないので1年中注意が必要です。ノロウイルスの感染は冬季に多く発生し、秋には毒キノコによる食中毒が発生します。
 
◆人畜共通感染症
 動物由来感染症ともいわれ、動物から人に感染する感染症のことです。引っかかれたり、かみつかれたりすることで感染するほか、排泄物などで汚染された土や水、ノミなどの昆虫が媒介する場合などもあります。'04年は、野生のシカやイノシシ、ブタの生肉を食したことが原因でE型肝炎ウイルスによる感染症が報告されています。最近、ペットが私たちに身近にかかわるようになり、中でもトカゲなどのエキゾチックアニマルをペットにする人が増えてきたことでこうした感染症が増加し注目されています。濃密な接触をしない、接触したら手を正しく洗うなど、ペットと上手につき合い予防を心がけましょう。
 
食中毒・感染症の予防
 食中毒菌による食中毒を予防するには、「付けない」「増やさない」「殺菌する」の3原則を守ることが重要です。「付けない」は、正しい手洗い・食材に食中毒菌を付けない、「増やさない」は低温での食材の管理、「殺菌する」は十分な加熱調理です。これらのことは飲食店はもちろん家庭でも気を付けましょう。
 信頼の置ける店を選び、購入後に寄り道せず、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れるなど、適切な買い物や調理をすることでも食中毒を予防できます。
 また生肉の肉汁が他の食材に付かないよう注意し、食中毒や感染症の危険がある生肉や生鮮魚介類の衛生管理には十分に気を配りましょう。
 
 

国民生活センター 『くらしの豆知識2006年』 より
 
 
トップページへ