くらしの豆知識
新たな生活の拠点はどこで

 定年後の田舎暮らしが注目され、シンポジウムが各地で盛んに開かれています。会場では、田舎の不動産情報を持つ不動産業者がニーズに応えるべく店開きしたりしています。また、畑付き住宅などの物件を満載した情報誌や田舎暮らしをテーマにした雑誌も人気です。
◆選択肢は多様、より確かな選択が大切
 定年後のセカンドライフをどう送るか。これは若いときに職業を決めるのと同様にとても大切なテーマです。自らの後半生を趣味やライフワークを軸により良くデザインし、それに応じて生活の拠点を決めることになるわけです。
 その際、「終の住処」をどうするかまで考えて拠点決めをする視点も大切でしょう。終の住処は持ち家にするか、新しい土地に求めるか、はやりのデュアルライフ(二重生活)でいくか、その選択は人それぞれでしょう。
 人々の生き方が多様になり、定年後の生活拠点の決め方も様々ですが、夫婦などでよく相談し、慎重かつ堅実な判断をすることが何より大切です。そのためには的確な情報の収集と分析が不可欠であることはいうまでもありません。
 そのときの流行に惑わされたりしないことです。確かな選択眼を持ち、定年後にふさわしい生活拠点を落ち着いて決めることが大切です。
◆首都圏への通勤費を支給する村も
 生活拠点選びが多様化する中、Uターンなどで田舎に拠点を定める人たちが増えています。また別荘を持つ場合、有名別荘地を避け、自然を求めて、風光明媚で温泉の湧く山間地や、釣りやダイビングのできる海岸部を選ぶ実利的な選択をする人たちも目立ちます。
 受け入れ側の地方の動きも活発です。一例を拳げると、北海道弟子屈町は「住宅地のお世話をします」と専門スタッフを配置したり、福島県泉崎村は「村営団地の入居者に首都圏への新幹線通勤費を負担します」といったよびかけをホームページで行っています。過疎防止のために自治体それぞれが懸命の誘致策を打ち出しています。中でも福島県西郷村は誘致策により人口が増加に転じ、注目されています。
 「優良田園住宅」という新しいタイプの田園の住宅団地もあります。'98年に制定された「優良田園住宅建設促進法」に基づくもので、敷地面積300u以上の「畑もできる広い宅地」が売りです。新潟県上越市の土地開発公社が'00年に全国に先駆け造成販売した1号地区57区画は完売しました。
 新しい生活拠点選びは「より取り見取り」なのです。
◆公的機関の情報を活用しよう
 こうした情報は、インターネットや各種団体の窓口で入手できます。各自治体および全国農業会議所のホームページなどでは、就農希望者に報酬を出して農業技術の研修をする町村や農業法人が紹介されています。
 また、(財)都市農山漁村交流活性化機構では、全国各地での田舎暮らしの体験談を紹介したりしています。
国民生活センター「くらしの豆知識2007」より
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