糖尿病
これだけは知っておこう

 糖尿病は、血液中の糖が過剰になって起こる病気です。
 私たちが生きていくためには心臓や肝臓、肺などの臓器や筋肉、脳など全身の細胞組織を働かせるエネルギーが必要です。そのため毎日の食事に含まれる糖質がエネルギーの原料となります。
 糖質は体内でブドウ糖に分解され、腸壁から吸収され、血液とともに肝臓に送られます。そして、いったん肝臓に蓄えられてから必要に応じて血液中に送り出され、全身に回ります。余分な糖質は肝臓でグリコーゲンに変えられて蓄えられているのです。食事をすると、食べ物の中の糖質が小腸から吸収され血液中のブドウ糖がどんどん増えて血糖値が上昇します。そして、血糖値が140mg/dlぐらいまで上がると膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンが正常に分泌されていれば糖は血液中に必要以上に残ることなく肝臓や筋肉などに運ばれエネルギー源として消費されます。インスリンは血液中の糖の量を調整する働きをしています。しかし、インスリンの量や働きが十分でなかったり、インスリンの働きを妨害する物質が血液中にあると、血液中のブドウ糖を代謝できなくなりブドウ糖が増え続け、高血糖の状態になってしまうのです。
 そして、高血糖が長く続くと糖によって血液が固まりやすくなり毛細血管が詰まりやすくなります。また、コレステロールが血管壁に付着しやすくなり動脈硬化が進行するのです。
 自覚症状としては、のどが渇く、だるい、疲れやすいなどです。
 血糖値が上がり始めた段階で適切な治療を受け、生活習慣を改めれば糖尿病への進行を抑えることができます。そのまま放置すると、恐ろしい糖尿病になってしまいます。
 糖尿病を発症していると、靴ずれの傷や水虫など足先にできたちょっとした傷が潰瘍や壊疽になりやすく、糖尿病性壊疽という合併症になることもあります。症状が重いと糖尿病性の昏睡に陥り生命を失うこともある怖い病気なので、やはり日頃の予防、生活習慣を見直し、糖尿病にならない体を作ることが大切なのです。
糖尿病を早期発見するからだからの症状
血糖値が高い人に現れる症状
1.尿に泡が立つ
2.尿の匂いが強く、甘ったるい匂いがする
3.尿の量が多く、夜たびたびトイレに起きる
4.のどが異常に渇く
5.急にやせる
6.いつも体がだるく疲れやすい
7.肌がかゆい
8.目がかすむ
9.食後2〜3時間程でまたおなかがすく
既に糖尿病で合併症が
起きている人にあらわれる症状
1.つまずきやすい
2.膀胱炎になりやすい
3.便秘、下痢を繰り返す
4.傷が治りにくい
5.食事中に汗をかく
 糖尿病は自覚症状が現れにくいと言われる病気です。気づかないうちに病状がどんどん進行していくので気がついたときには合併症を引き起こしていることも珍しくありません。
 上記のようなサインを見逃さず、早期に受診し、病状を把握して治療と改善に向けて努力していくことです。
糖尿病  血糖値をコントロールするためのポイント
Point1
 砂糖はとりすぎるとダメなのですが、砂糖だけが糖尿病の原因ではありません。砂糖を控えても炭水化物や脂肪をとりすぎたり、運動不足だと糖尿病になるのです。まず、医師と栄養士が決める1日の摂取エネルギー量内で食物繊維と一緒にとると良いですね。
 皆さんもご存知かと思いますが食品の中で玉ネギは血糖値をさげるミネラルが豊富です。血糖値を降下させるためには玉ネギを1日4分の1個を目安に食べると良いのですが、生でサラダにしても、炒め物でも効果はあまり変わりません。ただし、生でサラダにする時、水にさらしてしまうと水溶性のビタミンなどの有効成分が水に流れ出してしまうので注意が必要です。
Point2
 野菜の摂取量を増やしましょう。代謝をスムーズにするためのビタミンやミネラルを含み、低エネルギーの緑黄色野菜を中心にとるようにしましょう。海藻類もミネラルが豊富なので糖尿病の人にはおすすめです。そして、間食には十分注意してください。食事を改善しても、間食で甘いものをとってしまうとエネルギーが過剰になりますし、何よりも血糖値が上がります。間食するなら3日に1度、糖分の少ないものと心に決めて下さい。食べていけないものはないのですが、栄養のバランスと量の問題なのです。
糖尿病を誘発する環境要因
1.肥満、過食、運動不足
 肥満や運動不足はインスリンの働きを悪くします。過食は膵臓に負担をかけ、インスリンの分泌を悪くしその結果、血糖値が上がってしまいます。
2.ストレス
 精神的なストレスが加わると、過食を引き起こしたり内臓を弱らせたりします。それもさることながら、怪我や手術などによる痛みなどの肉体的ストレスも軽視できません。強いストレス状態が続くとインスリンの作用を弱めるホルモンが分泌され、血糖値の上昇を招きます。
3.加齢
 高齢になるほど体全体の機能が低下し、インスリンを分泌する膵臓の働きも弱まります。
4.その他
 副腎皮質ホルモン剤や血圧硬化剤などの特定の薬の服用が糖尿病を誘発したり、女性では妊娠が引き金になることもあります。


糖尿病になりやすい人
 糖尿病は、誰がなってもおかしくない病気なのですが、偶然に起きるわけではありません。
 ほとんどは、糖尿病になりやすい体質を持っている人に環境的な要因が加わって発病します。体質を持っているからと言って必ず発病するわけではありませんが、危険因子を抱えていることは事実なのです。
 糖尿病になりやすい体質は遺伝的なものです。親や近親者に糖尿病の人がいる場合はとくに注意が必要です。しかし、いないからといって安心せず、糖尿病の誘因となるものを排除することと、定期検診を受けることを心がけてください。

 
トップページへ