妊娠中の体のトラブル

●つわり
 つわりは、妊娠4〜6週頃から始まり、12〜16週頃に終わるとされているものです。妊婦の50%〜80%が体験し、個人差があり、軽症の人もいれば入院しなくてはならないほどの重症の人もいます。
 主な症状は吐き気、嘔吐、食欲不振、胃の不快感、めまい、頭痛などで原因は、はっきりしていませんが、胎児が育っている証拠です。食事ができず体重が5kg以上減るような重症のつわりは治療が必要ですが、ほとんどの場合は12週〜16週にはおさまります。つわりがつらいときには、栄養のバランスにとらわれず「食べたいものを食べたいときに食べる」ようにします。柑橘類や梅干しなどに含まれるクエン酸は食欲をそそります。嘔吐が続くときは脱水症状を起こすことがあるので、水分補給を十分にしてください。朝の空腹時につらくなることが多いようです。ビスケットやフレッシュジュースなど手軽に口にできるもので胃を落ち着かせましょう。
 また、つわりは、自律神経のバランスの乱れやアミノ酸の一種、トリプトファンの代謝不良で起こるとも言われています。神経伝達物質の合成に欠かせないビタミンB6が豊富に含まれている、鶏のささみやバナナ、マグロ、カツオなどを食べるとつわりが楽になることがあります。
●流産・早産
 流産とは妊娠24週末満に胎児が母体から娩出されること。児は未熟で分娩時生命があっても生存の可能性はほとんどありません。流産の割合は、全妊婦の10人に1人と言われており、その大半は12週末満に起きる早期流産で、染色体異常など原因は胎児側にあるとされています。
 一方、12週〜21週に起きる後期流産は母体側に原因があることが多く、子宮や胎盤の異常、自己免疫疾患、母体の過労や精神的ストレス、腹部の強打などが考えられます。
 胎児は生きているものの、出血や腹痛がある状態を切迫流産と呼びます。流産が始まろうとしていますが子宮口はまだ開いてません。この段階で安静にして適切な処置をとれば流産に至らずにすむ可能性は十分にあります。
 出血や腹痛、腹部のハリなどの兆候があったらすぐに主治医に相談して下さい。また、早産は妊娠22週から37週末満の間に起こる分娩のことで、子宮頸管無力症、前置胎盤、妊娠中毒症など母体に原因がある場合と、逆子や双子など胎児側に原因がある場合があります。
 
 流産や早産には完璧な予防策はありませんが母体に無理が重なったときに起こりがちなので、日常生活に気をつければ不注意による不幸な事態は免れます。重いものを持ったりする腹圧のかかる動作や性行為には十分注意しましょう。
妊娠中の料理のポイント
妊娠中は、高たんぱく質、ビタミン・ミネラルたっぷりの栄養バランスの良い食事を心がけましょう。体重オーバーや妊娠中毒症にならないように低エネルギー、減塩を徹底しましょう。
●妊娠中毒症
 妊娠中重症は主に妊娠後期に現れ、胎児の発育に影響を与えるだけでなく重症になると胎児や母体に危険を及ぼします。原因として、アレルギー説、ストレス説などがあり、特定できませんが、妊娠が終われば治ります。
 症状としては、むくみ、高血圧、たんぱく尿が三大症状で、重症の場合は、頭痛、めまい、けいれん発作なども起こります。
 初産、高齢出産、肥満、多胎の場合に多く、高血圧、腎臓病などの疾患がある人がかかりやすいと言われています。
 安静にして食事療法をすれば無事に出産できる場合がほとんどです。むやみに恐れず、医師の指導に従いましょう。
 
妊娠すると酸っぱいものが食べたくなるってホント?
 必ずしも酸っぱいものが食べたくなるわけではなく、ホルモンの影響で味覚が変わったりします。食べ物の好き嫌いがガラリと変わってしまう人もいます。
 妊娠すると「エストロゲン」「プロゲステロン」という女性ホルモンの分泌量が急激に増え、これらのホルモンの増加は五感、とくに味覚を変化させると考えられています。
 吐き気のあるつわりの時期は、サッパリしたものが食べたくなったりするので果物のような食べやすいものを食べる人が多いからだと思いますが、中にはチョコレートやラーメンが食べたくて仕方がなくなる人もいるので、妊娠=酸っぱいものというわけではないのです。
 
婦人科は女性の体の専門医
 女性の体の健康を専門に見てくれる医療機関が婦人科または産婦人科です。婦人科は内診のことを考えると行きづらくなってしまうようですが、診断をする上で内診はとても重要です。病気の早期発見のためにも恥ずかしがらず信頼のおけるドクターのもと、リラックスして受診してほしいものです。
 女性の体は女性ならではの構造やメカニズムがあり、思春期〜閉経後まで一生を通じてお世話になる科でもあるので、日頃から婦人科検診を受けるなどして信頼できるホームドクターを捜しておくことをおすすめします。
 
◆こんな症状があればすぐに婦人科へ
外陰部の異常 外陰部のかゆみや痛み、潰瘍や水疱ができているとき
生理痛 生理痛がひどく、鎮痛剤が必要なくらいつらいとき
下腹部痛やしこり 月経に異常があったり、しこりを見つけたとき
不正出血 生理時以外に出血があるとき
おりものの異常 量が多い、色がおかしい、悪臭がする
乳房の異常 しこりがある、ひきつれがある、痛みがあるなど
妊娠、不妊症 赤ちゃんができたり、努力しても妊娠しない場合
※この他、避妊法についての相談(経口避妊薬やリングなど)やブライダルチェック(将来の妊娠、出産に備えて、体をチェックしておくこと)などの場合も婦人科を利用すると良いでしょう。
 
婦人科を受診するときのポイント
服装は内診する可能性を考えて着脱しやすい服装にする
前向きの上衣とゆったりとした裾のスカートが良い。
顔色なども診察のポイントです。お化粧はなるべくうすめに。
前日、または当日に入浴し体を清潔にして下さい。ただし、受診前に膣内を洗浄すると分泌物やおりものの状態がわかりにくいのでやめましょう。

 
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