突然、心臓発作に襲われたら
 心臓発作での死亡は年間約5万人といわれています。狭心症や心筋梗塞などにより、心筋への血液供給が激減したり、途絶えてしまうことによって起こります。発作の程度がひどいと、致死的な不整脈である心室細動が誘発され、心臓のポンプ機能が停止し、全身に血液が送られなくなり、死に至るケースもあります。心臓発作におそわれたとき、生死を分けるポイントは速やかに適切な対処を行うかどうかです。本人も、周囲の人も、慌てず落ち着いて対処することが命を守ることにつながります。
 緊急時の対処法
【心筋梗塞】
 心臓突然死で最も多いのが心筋梗塞の発作から心室細動を起こし、絶命するケースです。激しい胸痛や動悸に襲われ15分程度続きます。また、冷や汗や嘔吐を伴います。
 すぐに救急車を呼び衣服をゆるめて、本人の楽な姿勢をとらせます。吐き気があるときは水を与えたり、無理に吐かせたりしてはダメです。呼吸と脈拍がなければ、救急蘇生法を施す。
 
【不整脈】
 心室が痙攣し、心臓が異常な拍動を始め、やがて心停止を起こす心室細動は、一刻も早く救命処置を行わないと、突然死につながります。発作時の症状は激しい動悸や胸部の不快感が現れる。
 心室細動の場合は、突然意識を失い、脈拍が無くなり、血液循環が止まります。発作で倒れ、意識がない場合はすぐに救急車を呼び、その後、救急蘇生法を施す。AED(※)が手配できればそれも使用する。
※自動体外式除細動器
AEDは人の集まる施設や駅などに設置が進んでいます。各地でAEDの講習会が開かれているので、万が一の時に備え、大切な人の命が救えるようにしたいものです。
 
【狭心症】
 狭心症の発作は心筋梗塞のように、すぐに命に危険が及ぶことはまずありません。ですが、心筋梗塞の前段階といえるものなので、発作が治まったら早めに受診すること。
 発作の症状は、激しい胸痛や動悸に襲われ、安静にしていればだいたい5分〜10分で治まります。発作が屋内で起こった場合は、ソファやイスなどに座り、楽な姿勢で安静にする。屋外で歩いていた場合は、その場で立ち止まり、座れるところに腰を下ろし安静にするが、この時、しやがみ込む姿勢は心臓を圧迫するので避けます。
 15分以上症状が治まらない場合は、心筋梗塞を疑い、救急車を呼んでもらう。
 
【急性心不全】
 激しい呼吸困難が起こり、咳や痰がでる。手足が冷たくなり、全身に冷えや汗をかく。発作が続くと、ぜーぜーと苦しい息となり全身に浮腫(ふしゅ)が広がります。
 すぐに救急車を呼び、上半身を起こした状態で座らせる。仰向けに寝かせると呼吸困難がひどくなるので注意してください。
心臓発作で倒れた場合、適切な救命処置が命を救います。大切な人の命を守るために救急蘇生法を覚えておくことも重要です。
<倒れている人を発見したら>
@ 意識の状態を確認する
A 119番通報とAEDの手配
気道の確保と呼吸確認
B 呼吸がない場合→人工呼吸
C 呼吸、体の動きがない場合→心臓マッサージ
AEDが手配できた場合は、音声にしたがってAEDを使用

Point
救急車が到着するまでにできることで、命が助かる確率がぐんと上がります。
<救急車を呼ぶときのポイント>
慌てず落ち着いて、必要事項を伝えることが救急車の速やかな到着に結びつきます。
◆119番に電話をかけたら…
急病、ケガ、事故の別を伝える
病人のいる住所を正確に伝える。目印になる建物などがあれば伝える
病人の性別や年齢、症状を伝える
自分の名前と119番に連絡した電話番号を正確に伝える
救急車が到着するまでにできる救急処置を教えてもらう

場所が分かりにくい場合は、サイレンの昔が聞こえたら外にでて救急隊員を誘導する。
 救急蘇生法
1. 意識状態を確認する
倒れている人の耳元で「大丈夫ですか?わかりますか?」と声をかけながら肩を軽く叩き、反応があるか見る。この時、体をゆすってはいけません。
2. 助けを呼び、119番通報をする
近くの人に「協力してください、お願いします!」と大きな声で助けを求め、救急車の手配をする。近くにAEDがあるなら手配してもらう。
3. 気道確保
倒れた人の額に片手を充て、もう片方の手の人差し指と中指の2本をあごの先に充て、持ち上げる。頭は後方に傾ける。鼻、口、肺と通路が開き、気道が確保できる。
4. 人工呼吸
気道を確保したまま倒れた人の鼻をつまみ、2秒以上かけて息をゆっくり吹き込む。これを2回繰り返す。
5. 心臓マッサージ
倒れた人の胸の辺りに膝をつき、胸骨(きょうこつ)下部の上に利き手を置き、もうー方の手を上に重ね、肘を曲げずに倒れた人の脊柱(せきちゅう)に向かって垂直に体重をかけ、胸骨を3.5〜5cm下に圧迫する感じで押す。押したら手は胸骨に置いたまま、速やかに力を抜く。
これを10秒間に15回の速度で繰り返す。

AEDが届くまで、または救急車が到着するまで、人工呼吸2回と心臓マッサージ15回を1サイクルとして、交互に繰り返す。
 
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