高齢者の心と体の変化

 老化によってさまざまな機能が低下します。 これは、人間なら誰にも訪れる正常な現象です。
高齢期では加齢による心身の変化は想像以上に負担があることは間違いありません。家族が理解し、コミュニケーションをとり、 うまく対応してしていけると良いですね。
ケース@
 先日、仕事から帰宅すると母(77歳)が台所でお鍋を火にかけたまま食卓のイスに座ってテレビを見ていました。お鍋はすでに焦げており、焼け焦げた匂いが部屋中にこもっていました。  
 とうとうボケてしまったのかと思いましたが、その他でボケている所は見当たりません。家をあけるのが不安になり、どうしていいものか戸惑うばかりです。母はたまたま忘れていただけといいますが・・・。
 
 高齢になるにつれ、物忘れが多くなるのはあたりまえなのですが、当然「匂い」を感じる機能の低下も65歳くらいから急激に衰えてしまいます。 特に嗅覚の衰えはなかなか自分では気づきにくいのです。お鍋を火にかけたことを忘れてしまうと、嗅覚が衰えている高齢者は焦げの匂いにも気づきにくく、火炎が起こる原因になりますので、とても注意が必要です。
 ですから、高齢になると誰でもこのようなことが起こり得るということと、火事になってからでは遅いと十分な対策を考え、話し合うことが大事です。高齢者のプライドを傷つけないような配慮も必要です。
 
ケースA
 80歳になる義父は、トイレが間に合わず、頻繁に尿を漏らします。大人用のおむつを買ってきましたが、受け入れません。  
 近頃は外出をすることも無くなり、漏らすと自分で洗濯をしています。中学生の娘は、おじいちゃんが尿を漏らすことを嫌がり、一緒のトイレを使うのを嫌がります。
 
 まず、このようなケースで気になることは、高齢者が排泄機能がうまくいかなくなると、自分で水分を控えすぎたり、外出を嫌がり、運動量が少なくなったりすることです。  
 大人用のおむつは嫌がる人が多いですが、それも勧め方によっては受け入れる場合もあります。自尊心を傷つけないような勧め方をすることです。 たとえば「近所の人も使っていて安心して遠出ができるようになり、元気になられた」というような、自分一人がおむつを使用しているのではないことをさりげなく話しておくような心くばりをしてあげるのはどうでしょう。このケースの場合は中学生の娘さんにも高齢者がなぜ尿漏れを起こすのかを話して、家族全員で思いやりをもって接することが大切です。
 人は誰でも老化します。筋肉などの運動機能が低下し、尿漏れの現象は誰にでもあり得ること、それを若い者が思いやりをもって接してあげることが大切です。
 
ケースB
 78歳の父と76歳の母は二人とも耳が遠くなり、アパートの隣の住人からテレビの音がうるさすぎると苦情がありました。確かに話をしても聞き取りづらいようすがあります。  
 防音効果があると聞いて壁にダンボールを張りつけたりしていますが・・・。
 
 聴力は若い頃にくらべて70歳くらいから約50%に低下するというデータがあります。一度耳鼻科で診てもらい、難聴のようなら補聴器を使用することも考えてみてはいかがでしょう。  
 難聴になると、人と会うのを嫌がったり、会話がスムーズにいかなかったり、それが続いて孤独になってしまいがちです。早めに受診し、医師のアドバイスを受けると良いでしょう。
 

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