甲状腺の異常
〜バセドウ病と甲状腺機能低下症〜
 
 甲状腺はのどぼとけの下にある蝶が羽を広げたような形の器官で、そこから分泌される甲状腺ホルモンは様々な代謝をスムーズにしたり、交感神経の活動や脳の思考を活性化したりと人間が健康に生きていくために基本となるホルモンです。  
 甲状腺異常の代表的な病気にバセドウ病と甲状腺機能低下症があります。バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって起こります。  
 20〜30歳台で発症する人が多く、男性より女性のほうが約4倍と多いのが特徴です。  
 
 主にあらわれる症状は、動悸、甲状腺のはれ、手のふるえ、疲労感、食欲はあるが体重が減少する、眼球が突出する、息切れ、血圧上昇、微熱、不眠、月経不順などです。  
 
 これらの症状がすべての患者に一度にあらわれるわけではありません。初期の場合は動悸だけであったり、手のふるえだけであったりと精神的な症状と思われがちなので、まずは医師の診察を受けることです。  
 経過は慢性で、生命にかかわる病気ではないのですが、感染症や外傷、はげしい下痢などのストレスが加わると、それがきっかけで脈が1分間に140〜150以上になり、意識が犯され、危険な状態になりかねません。原因ははっきりとわかっていませんが、自己免疫説が有カで、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体が甲状腺を刺激すると考えられています。一般に、体質的に興奮の強い人や精神の不安定な人に多い傾向があるようです。   
 
 治療法は確立されているので、治療を行えばさほど心配することはないのですが、生活の上で注意しなければならないのは、心身とともに安静を保ち、過労や精神的ストレスを避けることと、代謝が亢進しているために、栄養価の高いビタミン類やタンパク質の豊富な食事を心がけること、酒やタバコ、刺激物は避けたほうが良いでしょう。
 
 一方、甲状腺機能低下症は、中高年以上の女性に多いのが特徴です。症状がバセドウ病の逆で、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなり、代謝が極端に悪くなります。そのため、汗が出にくくなり、皮膚が乾燥したり、体温が下がる、脈が遅くなる、腸の動きが悪くなる、手足の冷え、太る、疲れやすいなどの症状が現れます。各器官に「むくみ」が出るため、いびきをかいたり、耳が聞こえづらくなったり、声がしゃがれることもあります。  
 
 甲状腺機能低下症の初期には、月経の量が増えたり、無気力感や疲れやすいなど、更年期の症状と間違えやすいので、やはり医師の診断が必要です。おかしいと思ったらすぐに受診をすることです。
   
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