脳出血
高血圧が脳出血を引き起こす
 
 脳出血は高血圧との関係が深く、脳出血の原因の大半が高血圧といわれています。血圧が高くなるほど、脳出血の発症率が上がることもわかっています。患者さんの数は50歳代から急激に増え、中高年に多い病気なのですが、脳出血の危険因子は、高血圧・加齢・飲酒・喫煙、これらの中で加齢は避けて通れませんが、その他は予防ができるものです。  

 脳出血を起こさないためには、まず血圧を正常値にする努力をしなければなりません。高血圧という危険因子を持っている人も、普段日常生活に不便がなければそれほど深刻にとらえず、ある日突然発作を起こす人は少なくないのです。ですから高血圧、高血圧ぎみの人は脳ドックで検査を受けておき、普段から血圧を正常に保つ努力をして下さい。
 
食事はエ夫して塩分を減らすこと
 高血圧の治療で一番重要となるのが減塩です。塩分は体の様々な働きに作用し、血圧を上げるように働きます。健康のために必要な塩分はごくわずかです。
 
 
塩分を減らすポイント(塩分は1日8gが理想的)
・パンよりごはん
・味噌汁は1日1杯にする
・漬物や焼き魚にはしょうゆをかけない
・スナック菓子やおかきなどはできるだけ食べない
・外食しない
 
 
「食品に含まれる塩分量」

 
 
 
血圧を下げるには適度な運動が必要
 高血圧の人は激しい運動は良くありませんが、軽い動作で続けられる運動がオススメです。一番良いのは「ウォーキング」です。ウォーキングは続けていると血圧が穏やかに下がってきます。無理せず継続することを目的に歩きましょう。
 
 
寒い季節は要注意!
冬は脳出血の発作が多く、特に暖かい部屋から急に寒い場所へ移動したときに起こります。朝、布団から出た直後や入浴の時の脱衣所、トイレなど温度差が大きいと起こりやすくなっています。
・布団から出る時は部屋が暖まるまでガウンなどで体を保温する
・脱衣所や風呂場は前もって暖めておく
・屋外に出るときは首元を冷やさないようマフラーをする
  
救急車が来るまでの応急処置
 従来、一般的に脳出血で倒れた場合は、絶対安静で発作を起こした場所から動かしてはいけないという考えでしたが、現在は、患者が呼吸困難や意識が全くないというような、状態が著しく悪い場合を除き、すぐに車で運び早期に十分な治療をするのが基本です。  
 まず、患者を静かに寝かせてすぐに救急車を呼びます。
 
1. 病人を大声で呼んだり、ゆすったりなどは絶対にしない
2. トイレや危険な場所で倒れた場合は、二人以上で静かに安全なところへ移す
3. 呼吸しやすいように頭を低くあごを上げて気道を確保する
4. 吐物が器官をふさがないようにやや横向きにします
5. 襟元やベルトなどを緩める
6. 呼吸が止まっている場合は人工呼吸を
 
脳出血の後遺症でも「うつ」に
 脳出血を起こすと、様々な後遺症が生じます。出血が起こったほうの脳とは反対側の半身にマヒが起こり、出血部位や程度によってマヒの重傷度は異なります。  
 また、発作直後に痙攣が起こることもあり、特に発作後2週間ぐらい経ってから起こるようになった場合は痙攣が後遺症として残りやすくなります。  
 そして、もう一つ問題となるのが心の後遺症で、脳出血の患者さんのうち約60%の人に程度の差はあるものの、うつ状態が見られるというデータがあります。うつ状態は発作直後から自分の状況を理解する過程で少しずつ起こります。脳の働きそのものが受けるダメージと患者さんが自分の将来を悲観する気持ちがうつ状態を引き起こすと考えられています。うつ状態を改善するために、薬物療法と本人が快適に過ごせるように周囲が働きかけることが重要となります。
 
脳出血の後遺症が残った時は住環境も見直しておく 
 歩行障害や麻痺がある場合は住居内の段差や階段の手すりや滑り止めなどを改善する必要があります。
 
本人の部屋 
・転倒した場合、思わぬ怪我をしないように足元を広くし、いらないものを片付け、動きやすくします。
 
トイレ
・程度に応じて手すりをつけたり、段差があるトイレや和式の場合はポータブルトイレを活用するのも良いでしょう。
浴室
・転倒を防止するため滑り止めをつけたり、毎日掃除をして石鹸のぬめりを取り除きます。
 
 
 
 
トップページへ