エイズ(AIDS)
についての正しい知識
 エイズとは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−T) の感染によって引き起こされる疾患です。HIV感染症は感染すると身体を病気から守る免疫系が破壊されて抵抗力が低下し、様々な感染症や悪性腫癌にかかってしまうものです。完全な治療法がなく、重篤な病気です。  
 HIVに感染してもすぐに症状が現れません。感染した人の健康状態やその人の免疫システムがHIVによってどれくらいの速度で破壊されるかで違います。症状がないにもかかわらず、性行為などによって他人にうつる状態にある期間が長く続きます。この期間を潜伏期間といい、半年ぐらいから長い場合は15年以上の場合もあります。  
 HIVは主として血液・精液・膣分泌液によって感染するので、性行為以外の日常生活ではまず感染の心配はないといえます。ですから性行為におけるコンドームの使用はエイズやその他の性感染症の予防にとって有効な手段といえます。
 
エイズの感染経路 
◆性的接触  
 感染者との無防備なセックスは感染する可能性があります。HIVウイルスは精液や膣分泌液にも存在しているので男性性器や女性性器を口や舌で刺激するオーラルセックスも精液や膣分泌液が直接口に入るので男性用コンドームや女性用コンドームを使用するほうが安全です。
 
◆血液感染  
 感染者の血液が傷口や粘 膜に触れることや、体内に入ると感染の可能性があります。感染者からの血液、臓器の提供や注射針の共用 (麻薬の回し打ちなど)などで感染します。

◆母子感染  
 感染している母親から妊娠中、出産時、授乳によって子どもに感染することがあります。
 
 
HIVに感染しているかどうか調べるには
 感染の可能性があったと きから3ケ月以降であれば感染したかどうかの確実な判定ができます。  
 HIV検査は各都道府県の保健所で匿名・無料で受けられます。また、全国 366カ所にあるエイズ治療拠点病院(有料)や一般の医療機関(有料)でも受けられ、結果は1週間〜2週間後本人に通知されます。  
 検査結果を知ることは、二次感染防止ばかりではなく、自分自身にとっても、医師の指導を守りながら生活することにより発病を抑えることが可能となるので重要なことです。  
 現在は発病を抑える薬の開発や、世界中で治療薬やワクチンの研究が進んでいます。
 
 
HIVについてのQ&A
Q. 献血でエイズ検査もしてもらえますか?
 
A. 献血された血液は、患者さんのために安全な輸血が行われるよう厳しい検査が行われています。もちろんエイズなどのウイルスに感染の有無も調べられますが、エイズウイルスは感染初期には感染を発見できないことから、エイズ検査を目的とした献血は絶対にしてはいけません。患者さんにエイズを感染させてしまう、大変危険な行為です。エイズ検査は医療機関もしくは各都道府県の保健所に相談して下さい。
 
Q. 交際している彼が、HIVに感染してしまいました。どのように接すれば良いのか毎日が不安です。
 
A. エイズウイルスは非常に感染力が弱く、握手や軽いキス、タオルや食器の共用などの日常生活を送る上での感染の危険はありません。ただし、HIVウイルスが直接血液の中に入ってくるような接触は注意が必要です。例えば性行為です。コンドームを使用しないセックスやオーラルセックスは感染の可能性があります。ですから、日常社会生活では問題は無いのですから、ごく自然な付き合いで接してあげてください。
 
Q. 交際している相手が不特定多数の女性と性行為をしているようです。HIV検査をすすめましたが、聞き入れてくれません。コンドームを使用していますが本当に大丈夫でしょうか?
 
A. HIVウイルスは精液や膣分泌液にも存在します。それが口に入るような行為でも感染する可能性があります。毎日不安な日々を送るより検査を受けられたほうが良いでしょう。
 
 
Q. 母親がHIVに感染していると赤ちゃんも感染するのですか?
 
A. 胎児は母親の胎盤から血液をもらって育つため、HIVに感染した母親からは胎盤感染することがあります。また、出産時には胎盤がはがれることや、産道が裂けやすいため出血をするので、その血液によって産道感染することもあります。母乳によっても感染する可能性があります。生まれたばかりの赤 ちゃんの中にはHIVに感染していなくても血液から抗体が検出される場合があり、その抗体は感染している母親の体内から胎児に移行したもので、感染していない場合は生後15ケ月以内に抗体は検出されなくなります。
 
 
Q. エイズにかかるとどれくらいで発症しますか?
 
A. HIVに感染しても、ほとんどの人には症状がありません。症状が無い状態を無症候性キャリアと いいます。この症状がない状態はしばらく続きます。さらに免疫が弱くなると、日和見感染などを起こします。この状態をエイズの発症といいます。感染後3年〜10年の無症状期を経て種々の感染症にかかりやすくなるのです。  
 未治療の場合ですと、HIVに感染した約半数の人が10年以内に発症するといわれていますが個人差があります。エイズの発症を抑える薬や治療法が研究開発されているので、医師の指示に従い、病気の進行を遅らせながら社会生活を送ることは十分可能です。



トップページへ